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ヴェクスター フルチューンの世界 ルシファー(にゃも氏)降臨 11/19
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プレコミモーター :: ヴェクスター フルチューンの世界 ルシファー(にゃも氏)降臨 11/19

ヴェクスター フルチューンの世界 ルシファー(にゃも氏)降臨 11/19
 
ヴェクスター フルチューンの世界  ルシファー(にゃも氏)降臨
(2023.3.14連載開始 2024.11.19更新)

これがなんだかわかるでしょうか?ヴェクスターのパーツです。
ギヤつきバイクのリアスプロケットではありません。
なんとヴェクスターのチューニングされている方で、ワンウェイクラッチまで軽量化されている方がいます。その方にいただいた写真です。
こんな改造初めて知りました。(マグネットローターの軽量化は当然のごとくやっております。)

ヴェクスターに乗って20年 パーツショップ運営10年以上になります。おかげさまで、海外だけでなく全国のヴェク乗りさまとたくさんの交流をさせていただいています。その中でも一番ヤバイ方に出会えることができました。にゃも氏です。おそらく日本一のヴェクスターのチューニングだと思いますので、世界一でしょう。この記事では ヴェクスターのチューニングを学ぼうという内容です。というのも もともと私はレストア ゴミ ジャンク派なので、 パワーアップやチューニングにはうといのです。『走ればなんでもいいや 金かけたくない。でも燃費野郎で コスパ重視です!』そんな感じです。
そして、ヴェク乗りの方も コスパ重視の方が多い傾向です。そして上手なパワーアップは実は燃費にもいいのです。スクーターで ハイチューンする方は 少なくてもアドレスV125で大抵がシグナスX系なのだと思います。でも いるのです。いたのです。ヴェクスターで ハイチューンどころか フルチューンされる方が。
もともとはXR600Rでフルチューンされていて、その方が趣味でヴェクもフルチューンされているのです。フルフューンXR600Rの技術・ノウハウがヴェクに生かされているのです。そしてさらに ご自身にてもかなり金属加工できる方でもあります。このフルチューンXR600Rは雑誌にも紹介されたことがあり、当時の記事がこちらにもあります。ヴェク乗りからすと想像を絶する恐ろしいXR600Rです。
さらにMIXIもやっておられまして、そちらにもヴェクの写真がたくさんあります。こちらなどです。(MIXIに登録しないと見れません。)


ざっと改造内容です。
ベース 1998年式 ヴェクスター


エンジン系

ピストン
ボア61mm 凸型ピストン サイドスリット加工
(他にも多数あり ボア67mmなど)

ロングクランク化 ストローク+3mm
ダイレクトイグニッション化
マグネットローター軽量化 進角加工

オイルポンプ 強化 ハイギヤ化
オイルクーラー追加
オイルジェットシステム追加(カムシャフトに直接噴射します)

ヘッド系
ポート加工 研磨
チタン製バルブリテーナー
流用加工ハイカム


キャブレター
PJ34フラットバルブを取り付けるために
インマニ・スロットルなど 加工 調整多数

220mm フロントビッグローター

セルモーター強化 
ライン14SQ強化

駆動系
ミッション 
V125利用 加工 ハイギヤ化
センタースプリング強化
クラッチシュー強化型交換


などなど多数ありまして、まだまだございますし、
日夜 加工されていますのでドンドン改良されていくと思います。

それでは ヴェクスターの チューニングを学んでいきましょう。


目次(仮目次で変更・追加などすると思います)
1フルチューンとは ハイチューンとちがう
2.ヴェクの排気量に関して
2.1ヴェクスター 最大ボアアップ ボア67mm 200越え フルチューン ルシファーチューン
3.ヴェクスターのクランクケースボーリング クランクケース穴拡大について
4.ヴェクスターのロングクランク ストロークアップについて
5.ヴェクスターのハイギヤ化ついて -アドレスV125を流用できるが・・・。
6.ヴェクスターのPJ34化 ビッグキャブレターについて  -ヴェクに34口径なんて合うの?・・・
7.ヴェクスターのポート研磨・ポート加工 ー フルチューナーはヴェクに合わせて削る
8.PJ34のためのチューニング シリンダーヘッド内部軽量化など
9.ヴェクスター フルチューンに学ぶ ピストン加工 ハイコンプ注意点 ビッグキャブでの利用

・・・・





1 フルチューンとは ハイチューンとちがう

まずここを理解することに非常に時間がかかりました。
にゃも氏が 通っているフルフューンレーシングショップのヴァイタルスピリットのwebサイトを紹介いただきました。このページに詳しく書いてあります。ぜひ一読をすすめます。こちら
私の理解だと、フルフューンはトータルバランスでパワーの追及をして耐久性を犠牲にしない。コツコツとフリクションロスなどを無くす・軽量化するなどを積み上げていく。乗りやすいので日常使用も可能。こんな感じでしょうか。
これに対して ハイチューンは 個別に パワーのみを追求することです。耐久性やバランスは考慮しません。レース車両などは1レースごとにエンジンOH・パーツ交換しているとのことです。

ほとんどのヴェク乗りの方は レースなどしないので、フルフューンを学んだ方がいいのがよくわかりました。
つい初心者は ボアアップに目を奪わて、無理なボアアップなどをしてバランスを崩して 乗りにくくなってしまいます。

また コツコツとフリクションロスを無くしていくのは本当に手間がかかることです。クランクの芯だしからはじまり、カムシャフトのズレの修正などあり、組み方 トルク管理まで多岐にわたります。ヴァイタルスピリットが組むエンジンだと ワークスエンジンのパワーをはるかに超えるとのことです。
となると、適当にずーーーと乗ってしまったヴェクスターだと どんどん フリクションロスが増えていきますね。パワーダウンで燃費も悪化しますね。



2.ヴェクの排気量に関して

にゃも氏によると ボア67mmまでは可能とのことです。
67mmなので、33.5x33.5x3.14x58.6 で 207ccですね。
ロングクランクだと 33.5x33.5x3.14x61.6 で 217ccになりますね。
実はヴェクスターは200cc越えできるポテンシャルあるのですね。

実際にボア67mmをやろうとすると シリンダースリーブを探すところからになります。そして シリンダースリーブの入れ替えはとても大変でお金もかかります。ピストンならなんとか流用できそうなものを探せそうなので、中国で見つけたらキープするようにしておきます。

ヴェクで200越えなんて夢がありますね。セロー225とかとほとんどかわりないですし、りっぱな軽二輪になれますね。(150だと高速はかなり苦しいのです。)

ビッグスクーターと比べるとヴェクは車体も軽量ですし、空冷のままなのがいいですね。ぜひ にゃも氏に217cc化してもらいたいぐらいです。

と、このことをお伝えしたら、すでに 217cc化したことがあるとのことです。しかもにゃも氏のMixiを拝見すると2008の時点でボア67mmにされています。さすがですね。なので、次回は ボア67mmについてお聞きします。


2.1ヴェクスター 最大ボアアップ ボア67mm 200越え フルチューン ルシファーチューン(2023.3.31記載)

私はヴェクの限界・最大排気量はボア65mmで200越えできないとずっと思っていたのですが、にゃも氏によるとちがうようです。しかも無理なボア拡大でなく、強度・耐久性なども考慮した フルチューンです。さすが、XR600Rという恐ろしいフルチューナーです。当店はかつて ボア63mmで鬼チューンと呼んでいましたので、にゃも氏は鬼をはるかに超えますので、悪魔でしょうかね。しかも耐久性・燃費(リッター25-30キロ)もいいとのことです。ヴェクで200cc越えして 耐久性・燃費もいいなんて悪魔でなく、天使よりですかね。ヴェクスター ルシファーチューンがよさげですかね。
さて冗談はおいといてすすめます。ここからは インタビュー形式もあります。

Q.なぜ67mm化しようと思ったのですか?
A. 2008年 当時、走行距離:30000kmを超えたので、オーバーホールするなら、61mmのボーリングより、排気量が大きいほうが良いと考えました。また、使えるピストン(15mmピストンピン)を探している余裕もありませんでした。
丁度、ヴァイタルスピリットにCRF150F用のタケガワ 67mm鋳造ピストンがあったので相談。
バルブリセス加工ができるので 採用しました。
のちに台湾のレーシングチームへ注文。
65mm、66mm、67mm(鍛造ピストン)68mm(鋳造ピストン)とレパートリーが増えました。
ピストンには、ローコンプとハイコンプの2種類あり、組み立てる時に選ぶことができます。

なるほど、きっかけは腰上OHだったのですね。いきなりボーリングを飛び越えるつもりでいるのが漢(オトコ)ですね。 さらにのちには 台湾レーシングチームにもピストンを注文されているのですね。68mmを入れる予定もありそうなので、68mmだとさらにアップしますね。さすがヴァイタルスピリット関係の方なのでハイレベルですね。ちなみにボア68mmだと ノーマルクランクで213cc ロングクランクだと224ccです。セロー・FTR越えです



Q.67mmだと シリンダースリーブの打ち替えなどで高額になるだけでなく手間もすごいです。多くの人は パワーのあるバイクに乗り換えてしまいます。なぜヴェクでそこまでしようと踏ん切りがつきましたか?
 A.仕事の都合上、足元に工具や材料を積んで、移動する事が多かったからです。最新の車両は、フレーム形状が変更されて、荷物が載せられないので、乗り換えは、考えていませんでした。
また、車体重量があるので、パワーがあるほうが楽に走れるだろうと言う感じですね。ヴェクスターのエンジンは、改造する余裕があるんですが、改造部品が少ないのが悩みでした。
部品が無いのなら作る!の精神で、楽しんでいます。


フラットフロア重要ですよね。コンパネ・畳など固定しないで何枚も運べますしね。これはヴェクにできてカブにはできない芸当です。いやー シグもV125もフラットフロアで改造パーツ豊富なのですが、乗り換えられなくて本当によかったです。というより にゃも氏のような生粋のフルチューナーだと乗り換えてもフルチューンしそうですね。『部品がなければ作る!』の精神も素晴らしいですね。普通の人はまず思いつきもしないですし。私だとひたすら探すのがメインです。次は流用考え、最後の最後で作ることを考えます。難しいことをなるべく避けているのですが、にゃも氏は最初から難しいことにぶつかっていくのですね。まさに漢(オトコ)ですね。


次はピストンに関してです。

今は無き、タケガワ製の67mm鋳造ピストンを採用したとのことです。
お値段は2008年当時16000円ぐらいだったとのことです。後に鍛造ピストンも30000円ぐらいで発売されたそうですが、鍛造のため肉厚が薄くバルブリセス加工が難しいため採用しなかったとのことです。現在(2023.3)は共に絶版で、たまたまオランダに在庫が残っているようで67mm鋳造ピストンが5万円超えているとのことです。(鋳造(ちゅうぞう) と  鍛造(たんぞう)の違いがよくわからないかたは 検索エンジンなどで調べてください。)





こちらは仮組の写真です。
さらにヴェクのシリンダーヘッドに合わせて加工が必要です。


ピストン加工前のマーキングです。にゃも氏によると
『ピストンヘッドは、圧縮が高すぎるので、 燃焼室の凹みに合わせて、凸の部分は、40mmで加工。
バルブリセス加工は、同じ形状をコピーして、削りました。
当時は、ボール盤が無かったので、 リューターとミニサンダーの刃を駆使して加工しました。』
とのことです。ご自分で加工しているのがすごいですよね。

加工済みピストンの仮組の写真です。バルブの干渉などを調べるためにおそらく何度も組み直したと思います。
にゃも氏によると
『シリンダーの高さ合わせは、アルミのスペーサー(0.5mm)+ ベースガスケット(0.5mm)
ヘッドガスケットは、昔、台湾で加工してもらった、 67mmの物を使用しました。』
とのことです。ベースガスケットを2枚にしないでアルミスペーサにしているのもフルチューンに関係あるのだと思います。(通常はベースガスケットを増やすだけです。)


ボア67mm用スリーブについて

Q.どこで探しましたか?費用はどれぐらいでしたか?
 A.スペアエンジンが手元にあったので、分解。
腰下のスタッドボルト周りに余裕があることを確認できたので採寸。
75mmまでならボーリングできる事が判明。
アメリカの LOSANGELES SLEEVE CO.(L. A. スリーブ社)のサイトで シリンダースリーブを探しました。L.A.SLEEVE (lasleeve.com)
取引しているアメリカの業者へ、購入依頼しました。
1本:6000円 x 本数 + アメリカ国内の送料 + アメリカの消費税 + 日本への送料 + 日本の消費税が掛かります。
単価(1本)8000円くらいになります。
次に使うために型の違うシリンダースリーブも見つけています。(円高の時だったので、安く購入出来ました。)


ヴェクは75mmまで可能とサラッと書かれていますが、さすがXR600Rのフルチューナーですよね。我々もバラせばエンジンの採寸ぐらいはできますが、どれくらいまで削ってもいいかはわからないのです。
また てっきりスリーブは国内の内燃屋さんがもっているのと思っていたのですが、ご自分で用意されたのですね。今度はアメリカからですか。台湾と続き国際色豊かですね。スリーブは単なる鉄管なのですが、エンジン用となると専用品なので意外に高いです。現在だと円安ですし、かなり高くなっていることでしょう。2008年当時は1ドル95円ぐらいでしたので 為替だけで1.5倍高くなります。

Q.スリーブ打ち替えボーリング加工費用は どれぐらいでしたか?
A. ヴェクスターのシリンダースリーブは、鋳込み制作なので、抜けません。作業工程ですが、新しいスリーブの外径に合わせて、スリーブ部分(内径)を切削します。シリンダーへスリーブの圧入。
圧入後、同じ寸法になるように、スリーブのスカート部分の長さを合わせて切削します。シリンダーヘッド側もスリーブ上面を切削して、高さを合わせます。
後にピストンサイズに合わせて、ボーリングとホーニングをします。
ホーニング時のピストンクリアランスは、メーカー出荷時と同じピストンクリアランス(鋳造:0.03mm)を指定します。
ホーニングピッチ(精度)を指定します。
(重要)ホーニングの良し悪しで、エンジン寿命が決まります。
メーカーと同じクリアランスにする事で、オイル消費を抑えられ、長持ちします。
この工程で、35000円から40000円程だったと思います。
(鋳造ピストンと鍛造ピストンでは、膨張率が違うため指定クリアランスが違います。)どこの内燃機屋さんへ加工を頼んでも、同じだろうと思ったら、大間違いです。 信頼のおける内燃機屋さんに依頼しないと、エンジン寿命が短くなるので要注意です。



実はヴェクのノーマルスリーブは抜けないのですか。てっきり抜けるものだと思っていました。鋳込み制作というものがあるのですね。こちらも検索エンジンで調べるとよくわかりますが、抜けない・動かないようにスリーブ外側がフラットではないそうです。こちらなどがわかりやすいです。
鋳造と鍛造でピストンクリアランスが違うのも はじめて知りました。また メーカーと同じクリアランスにするとオイル消費も抑えられ長持ちするという情報もフルチューンのノウハウですね。実はホーニングのピッチまで指定できるのですね。そして内燃機屋さんも実はピンキリなのですね。貴重な情報をありがとうございます。ここまで国内でやっても4万円ぐらいで済んだのですね。もっとするかと思っておりました。内燃機屋さんにもよるとも思います。


Q.腰上組付けで特にに注意したこと苦労したことはありましたか?
A.組み付ける時に、高耐熱の液体ガスケットを使い、締め付けトルクをメーカー指定値より少し高めにして、組みます。
苦労したこと
A.シリンダーヘッドとピストンの干渉とバルブとピストンと干渉していないかを確認する、仮組作業が面倒ですね。
仮組をしてバルブとピストンが干渉していない事を確認します。
(ベースガスケットとスペーサーの厚みを確認、圧縮調整をします。)


フルチューンでは液体ガスケットも追加するのですね。
エンジン整備に慣れているにゃも氏でもバルブとピストンの干渉を調べる仮組は面倒なようです。


Q.ボア67mmでの慣らし・インプレをお願いします。
A.エンジンの慣らしは、カム回りが500㎞、シリンダー回りが1000㎞をハーフスロットルで走行します。
燃料満タンを5回くらいで、少しずつ高回転の当たりを付けていきます。
走行距離が増えると、当たりが付いてくるので、振動も無くなり、軽く回るようになります。
1500㎞で慣らし終了、オイル交換をします。
慣らし終了後は、オイルフィルターの交換とオイルストレーナーの掃除をします。
エンジンオイルは、人間で言う血液になります。
慣らしエンジンオイルは、モチュール300V 15w-50を使い、オイル添加剤は、ミリテック1を使用しています。
ミリテック1は、慣らし促進作用があり、摺動抵抗を減らすので、エンジンが軽く回り、振動が軽減します。
また、抱き付き、焼き付き予防にもすごく良いです。(ミリテック1は、アメリカ軍指定の添加剤です)
慣らし後は、モチュール300V 4Tオフロード 15w-60 とミリテック1を入れています。
油膜を強くして、保護しないと長持ちしないので、気を付けています。
夏場の熱対策用にオイルクーラーを取り付けて、オイル容量も1000㎖入れています。

A.インプレです
エンジンを回さないでも走るようになりました。
圧縮が上がり、排気量とトルクが増えて余裕ができました。
ハイギア(18x44)を入れてます。
加速重視のエンジン仕様ですが、街乗り走行は、低速でも中速でもノーマルと変わらず乗りやすく、
安定した走りができます。
上り坂で加速をするとハイギアの加減か、クラッチセンタースプリングがパワー負けします。
クラッチセンタースプリングの設定が難しいです。

余談ですが、ハイギア(17x45、 18x44)は、ノーマル排気量の車両にも使用可能です。
変更すると加速が良くなりますが、最高速は、試してないので、わかりません。
ウエイトローラー、クラッチセンタースプリングのセッティングが必要になります。


まず 慣らしの距離が意外に短いですね。これはやっぱりフルチューンでクランク振れ取りをはじめ 組み方も普通の人とは違うからだと思います。普通のボアアップでは3000キロぐらい大人しく慣らしている方が多いと思います。またストレナーまで掃除されるのがすごいですね。エンジンオイルもすごそうですね。ちょっと調べてみましたら、リッター3000円超えていました。慣らしは15W-50Wでそのあとは15W-60W(リッター4000円越え)にするものすごいですね。60Wですから、高温での油膜保持を気にされているのがよくわかります。ミリテック1ですか。ずっと前にモーターアップとスーパーゾイルぐらいしか試したことないです。私の乗り方だと効果もいまひとつで どっちもコスパ悪いのでずっと使っていません。ミリテック1だと500mlで5000円ぐらいでしょうか。ヴェクだと10回分ぐらい使えそうです。意外に安いですね。今度機会があったら試してみます。

インプレに関してはにゃも氏は 『余裕ができました』と さらっと書いておりますが、やっぱりこれはもとフルチューンXR600R乗りというがあると思います。普通のヴェク乗りでしたら、 『怖くてアクセル開けれません。』『急激なパワーアップで もてあましてしまいます』『やりすぎて ヴェクスターでなくなりました。』などになると思います。
ハイギヤに関しても さらっと 18/44 17/45 と2つハイギヤのことに言われています。こんなものどこにもないのですが・・・。この件にかんしては 長くなりそうなので、別にお聞きしたいと思います。

まとめますと、ヴェクスターのボア67mm化はお金だけでなく、手間・スキル・時間が必要です。そして何よりも覚悟・気合いなど必要だと思いました。にゃも氏のケースで ボア67mm化だけに関しては
 ピストン16000円 スリーブ関係(8000+40000円)で 6.4万円ぐらいしか費用がかかっていないです。ピストン加工やスリーブ調達も内燃機屋さんに頼むとさらに3-4万円の費用がかかりそうです。またクランクケースボーリングも実は必要ですしね。これも2万円ぐらいかかりそうです。金属加工スキルなどあるのでかなり抑えられているのです。このことをお聞きして、現在 ヴェクのボア67mm化するには最低10万円ぐらいみておかないとだめだと思いました。  

そういえば、 ヴェクのクランクケースボーリングについてお聞きするのを忘れていました。 次回は ケースボーリングについてです。



3.ヴェクスターのクランクケースボーリング クランクケース穴拡大について(2023.4.12記載)

ボアアップしすぎると シンンダースカートが太くなり、クランクケースの取り付け穴に入らなくなります。そのために 取り付け穴を拡大する必要があります。ハイチューンでは定番でして、ご存じの方も多いでしょう。 ヴェクスターだと、ボア62mmを超えると ほぼ拡大が必要になります。詳しくはこちらなど。
にゃも氏のケースではいきなりボア67mmです。今回はどのように拡大したかお聞きします。

Q.ケースボーリングはどうされましたか?おそらく内燃機屋さんに依頼されたと思うのですが、どれくらいかかりましたか?
A. 67mmのケースボーリングですが、内燃機屋さんへ確認してもらったんですが、ケース形状の問題で機械に固定できないと返事がありました。
そのため、治具を製作、自分で加工しました。
治具と言っても鉄板にベースを描いてから穴あけするだけの簡素な物です。ホールソーを使いボーリングする手法です。
ずれないようにするために、ドリルを使うのが難しかったです。
開口径が75mmなので、巻き込まれる恐れがあるために要注意しながらの加工でした。


とのことです。実はヴェクスターは クランクケースボーリングができないようです。断られたとは予想外でした。てっきりできるものと思っていましたので。
しかし さすがにゃも氏です。ご自分で加工したとのことです。
ケース穴を直径66mmから75mmに拡大なんて半径で4.5mmも拡大になります。リューターや切削ビットなどで削れる量でないと思います。
しかもなんとホールソーなんかでカットできたのですね。
てっきりホールソーは木材用で金属は無理だと思っていました。位置決めのポンチ打てないですし、穴あけの際におもいっきりずれそうで できる気がしないです。はたしてどうやったのでしょうか。

わかりやすい お写真をたくさんいただきました。

左側がボア67mm用のスリーブです。加工前で、ボーリング・ホーニング・ヌケ止め加工などは内燃機屋さんに依頼します。



こちらが自作された治具と ホールソーです。まず左側の鉄板を加工するのですが、これだけでも結構大変そうです。

クランクケースに取り付けた写真です。スタッドボルトを4本を抜くのも少し手間ですね。




外径75mmのホールソーを当てた写真です。これをハンドドリルに取り付けて、カットしていきます。中心を固定できないので、相当難しそうです。にゃも氏も苦労したと言っていますね。


75mmのホールソーにてカットされたクランクケースです。きれいな真円ですね。右下のスタッドがギリギリなことがわかると思います。ヴェクのクランクケース穴は拡大できても最大サイズ75mmなのがよくわかります。



大径スリーブを仮入れした写真です。クランクケース側が75mmでスリーブの外径が72mmなので、クリアランス(ケースとスリーブのスキマ)は1.5mmですね。熱量が大きくなるので、かなり余裕をもたせているのかと思いましたら違うとのことです。
にゃも氏よりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
75mmなのは、ホールソーが手元にあったので、最大径になりました。
本当は、73mmか74mmのホールソーにすれば、ベースガスケットの面を稼げたと思います。
仕事で必要な工具なので、工具箱に入っていたんですよね。
隙間が広いと内圧により、ベースガスケットの吹き抜けを誘発するため、ギリギリまで詰めるのが理想ですね。
最悪は、ジュラルミンのパイプで薄いスリーブを作り、アルミ補修材:デブコンで張り付ける事を考えていました。
組み付ける時に、液体ガスケットを塗るので圧抜けは、ありません。
熱量の件ですが、シリンダー本体は、そこまで膨張しませんので、勘違い無きようにお願いします。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー
なるほど、実はシリンダー本体はそんなに膨張しないのです、ギリギリがいいのですね。ベースガスケットの接触面積も狭くなるので、吹き抜けも考慮しないといけなかったですね。もし75mmで吹き抜けてしまった場合の想定・準備もすごいですね。デブコン(DEVCON)というもの初めて聞きました。こちらも軽く調べたら 金属補修材です。エンジン整備にもいろいろ使えそうですね。


さらに位置決めの鉄板についてさらに情報をいただいきました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ケース加工に使った治具用鉄板の厚みは15mmですが、理想は、 ホールソーと同じ長さの50mm位の厚い物のほうが、
内径と垂直を狂わせないので良いのですが、加工に手間と時間が掛 かるのと、重たいので手頃な15mmにしました。
鉄板も購入すると意外と価格が高いです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
てっきり厚さ3mmぐらいだと思っていました。理想は50mmですか・・・。私は15mmな時点で尻込みします。金属加工は厚くなるほど大変で、工具も変わります。10mm超えてくるとハンド工具では穴などがまっすぐきれいに開けれらないです。ボール盤みたいなのが必要です。


以上がヴェクのクランクケース最大拡大の流れです。金属加工になれていないとまず無理だと思いました。ホールソーが金属にも使えて、外側で位置合わせもできるのが驚きでした。


さらに ボアアップ時の情報をいくつか頂きました。せっかくなので、そのまま載せます。
ーーーーーーーーーーーーーーー
慣らし走行が短く済むのは、ホーニング精度の差があると思います。
見た目で、シリンダーにピッチ目が見てわかるようなら、荒い仕上げになっています。荒いサンドペーパーをかけているのと同じ考えです。
慣らしが終わる頃には、シリンダー、ピストンも滑らかになりますが、
ピストン表面も荒れているので、慣らしが終わる頃には、ピストン、ピストンリングも削れています。低走行距離でも、白煙を吹くようになります。そのため、オイル消費も早くなります。
慣らしの手順も、様子を見ながら徐々に負荷を掛けながら、少しづつ回していく感じです。
ーーーーーーーーーーーーーーー
慣らしをちゃんとやらないと エンジン寿命などが違うのがよくわかりますね。おそらく中華パーツやノーマルだとホーニングはほとんどが荒目なのだと思いました。粗目のほうがオイルの食いつきがよく、慣らしをしない人にも対応できます。慣らしをできるかたはホーニングを細目にするといいですね。




ーーーーーーーーーーーーーーー
 あと、暖気運転の件ですが、最低5分はしないとオイル潤滑が追い付かないので、部品の消耗が早くなります。
ピストンの裏側が焼けて黒くなります。また、ピストンピンが抜けなくなり、ピストン側面に縦傷が入ったりします。
カムチェーンの伸びも早いです。
暖気運転は、オイル潤滑と熱膨張の時間です。準備運動ですね。
オートチョーク付きのキャブは、燃料が濃い状態から走行できるので、気にしないで走り出しているとおもいますが、
自分の場合は、暖気運転をしないとギクシャクして走行できないんですよね。
オイル温度もなかなか上がらない冬場は、気を使います。
ーーーーーーーーーーーーーー
なるほど、暖気運転の重要性がよくわかりますね。ボアアップするとさらに重要になりますね。たまにピストンピンがなかなか抜けないバイクがあったのは暖気もされずに荒く乗られていたのですね。私は今までヴェクの暖気は走行しながらやっていました。なるべく停車しながらやろうと思いました。


ーーーーーーーーーーーーーーー
キャブセッティングですが、ノーマルの基本が決まっているので、10番から15番アップで済みます。圧縮が高いと、濃くなります。
薄いより濃いめのセッティングからが基本ですが、薄いとトルク感が無く、回ります。濃すぎると回らないので、少し薄くするようにセッティングすれば、良いです。排気量が大きくても、圧縮が低いとメインジェットは、大きくなりません。圧縮比で変わります。

ーーーーーーーーーーーーーーー
キャブセッティングもとても分かりやすいですね。圧縮比・圧縮でMJが決まるのですね。てっきり排気量で決まるものだと思っておりました。過走行だと圧縮落ちていくので、場合によってはMJをさげた方が調子よくなりますね。なるほど、さすがフルチューナーですね。キャブに関してはまた別にお聞きしたいと思います。


4.ヴェクスターのロングクランク ストロークアップについて(2023.6.14記載)

ハイチューンの定番として、ボアアップの次にくるのが ストロークアップです。シグナスXやV125だとロングクランク自体がパーツとして種類があるのですが、当然ヴェクスターにはありません。なので通常はこれでストロークアップはあきらめます。しかし、にゃも氏は3mmストロークアップしています。さて一体どうされたのでしょうか。

私がたまに利用する内燃機屋さんには クランクシャフトの分解・組付け・芯出し などはやってくれるのですが、ストロークアップのメニューは基本ありません。他にもいろいろな内燃機屋さんを調べたのですが、ストロークアップまで対応してくれるところは見つけられませんでした。ワンオフや特注するのにもイメージがわきません。一体どこで作ってもらえるのでしょうか。

詳しくお聞きしました。

にゃも氏が普段利用している台湾のあるRCパーツメーカーにヴェクスター用のロングクランクをワンオフ・特注で制作を依頼したとのことです。もともとそのメーカーはV125などのロングクランクを制作しています。このときかかった費用は35000円ほどとのことです。(かなり安いのは にゃも氏がお得意様であるかと思われます)
そして にゃも氏は一度ロングクランクを組み 利用できることを確認ししました。そのあとは ロングクランク5本・偏心クランクピンを5本とオーダーを出したとのことです。ヴェクスターのフルチューンのために各5本もストックしておくところがまたすごいですよね。(ちなみに販売をお願いしましたが、自分用で余裕はなく無理とのことです。)


偏芯クランクピンと聞きなれない単語を初めて聞いたのですが、
ロングクランクシャフトには多く採用されているようです。オフセットピンなど呼び方も色々ありますが、今後は偏心ピンで統一します。

現物を見た方がわかりやすいので、まずは写真です。

にゃも氏よりいただいた ヴェク用の 1.5mm偏心ピンの写真です。
左 偏心ピン 右 ノーマルクランクピン 上コンロッドとベアリング

このように、コンロッドを外側に移動することができるのです。
これなら、クランクのウェブ部分を加工しなくていいので、トータル費用が低くなりそうです。
なので、おそらくシグナスXやV125などのロングクランクも偏芯クランクピンを実は多く利用しているのだと思われます。

てっきり 偏芯クランクピンにしてしまうとノーマルのコンロッドが取りつけられなくなるかと思っていたのですが、ニードルベアリングを分解すれば、取り付け可能だとのことです。

この写真が偏心ピンにベアリングとコンロッドを取り付けた写真です。


偏心距離をあまりとるとにさすがに分解してもベアリングがとりつけられないかもしれません。SR400などの偏心ピンは最大でも2mm(4mmストロークアップ)でした。もしベアリングが取り付けられなくなっても、コンロッドを分解式にすれば、取り付けは可能だとは思います。しかし、今度はネジの突き出し部分がクランクケースに干渉がかなり大きくなりますので、ほぼ無理なのだと思います。(さらに にゃも氏によると分解式でヴェクスターに利用できるコンロッド自体がないとのことです。)

分解式 ネジ式 かち割り式 コンロッドの情報です。(グーグルイメージ検索より)これなら簡単に取り付けできるのですが、ネジ部分がでっぱります。

また 一般的にストロークアップ量が多いレーシングクランクだと、クランクケース内部を拡大することが必要なのは、おそらくクランクウェブからコンロッドの下部分がはみだしてしまうからだと思います。

にゃも氏よりいただいたレフトケースにクランクが刺さった写真です。矢印部分だけでなく クランクウェブとケースのスキマがあまりないことがわかると思います。しかもこの写真よくみると軽量ワンウェイクラッチついていますね。


せっかくなので、にゃも氏より ロングクランク化に関していただいたコメントです。
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 普通の内燃機屋さんは、加工素材(偏芯クランクピン)を持ち込まないと、無理だと思います。
材料を持っていて、製作できる内燃機屋さんは、少ないと思います。
素材が入手できれば、製作可能かもしれませんが、まず、ノーマルクランクピンを取り寄せて、
見本を持ち込み「偏芯ピンの製作は、可能ですか?」と相談してみるのも手です。
その時に、材質と焼き入れなどの状態も把握すると思います。

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なるほど、スリーブの打ち替えと同じような状況ですね。
材料・素材を用意して、加工できるところを探す感じですね。
とりえあず、中国にヴェクのノーマルクランクピンとコンロッドは
あったと思うので、そのうち用意するようにしたいと思います。

ヴェクスターでロングクランク化したいときの参考になりますね。


他にもにゃも氏が 偏芯ピンでの組付けを解説してくれました。
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偏芯された1.5mmにニードルベアリングを入れるには、ニードルピンを分解してから再度、組み入れます。
そこへコンロッドをいれます。
工程は、クランクウエイトへ偏芯クランクピンを圧入→大端ベアリングを分解して組み付け、及び復元→
大端ベアリングへコンロッドを入れる→クランクウエイトの位置合わせして圧入→芯だし調整→完了
分解式のコンロッドは、形状の問題で使用不可です。
クランクケースに余裕にあれば、利用可能かもしれませんが、シングルクランクなんで、

 偏芯ピンを使い、ストロークアップすれば、コンロッドを短い物にするのが理想なんですが、交換用のコンロッドが無かったので、入手が安易なノーマルを利用しました。

キャレロ社の鍛造コンロッドがあれば欲しいけど、小排気量向けのサイズが存在しないので、ノーマルです。
あと、ピストンヘッド形状や、高さに合わせて、ベースガスケットをノーマル(1枚)にするか、
ジュラルミンベースのかさ上げ(0.5mm 1.0mm)を使い分けて圧縮調整をします。


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わかりやすいですね。キャレロ社ですか。初めて聞きました。コンロッドにも鍛造と鋳造があるみたいですね。キャレロ社はアメリカにあるレーシングコンロッドのメーカーのようです。公式サイトの歴史はこちらです。英語です。
また ジュラルミンベースはロングクランクのために利用していたのですね。なるほど。3mmロングクランク採用で ピストントップは1.5mmアップしますので。


以上がにゃも氏によるヴェクスターのストロークアップになります。
ボア67mm化並みに 大変ですね。そしてまず偏心ピンなどについての基礎知識がないとできないですね。

せっかくなので、偏心ピンの制作をしてくれるところを検索してみました。金属加工所などが結構対応してくれているようです。ただ価格までのイメージがさっぱりわかなかったです。本数などにもかなりよるとも思います。参考までSR400用の偏心ピン単体で2-3万円で通販しているところがありました。なので、ヴェクスター用も似たようなものだと思います。内燃機屋さんでは クランク分解組立 芯だしまでが2万円ぐらいだと思いますので、5万円ぐらいあれば、ロングクランクできるかもしれないと思いました。



2023.6.28追記
ビッグニュースです。フルチューンパーツを4種 にゃも氏より分けていただきました。にゃも氏の備蓄パーツ放出ですので、気になる方はお早めに。

ヴェクスター専用ハイギヤ
TAKEGAWA流用 2つあります
TTMRC流用 1つのみです



現在 ヴェク用のハイギヤの記事を書いています。急ぎます。




5.ヴェクスターのハイギヤ化ついて -アドレスV125を流用できるが・・・。(2023.7.14記載)

国内のヴェクスターはノーマルだと 

125が 15X47 (2次減速比 3.133)

150が 16X46 (2次減速比 2.875)です。

2次減速比が下がるほど ハイギヤになっていきまして、ヴェクは125より150が8%ハイギヤになっています。

当然 国内には16x46を超えるハイギヤはありません。たしか10年前ぐらいに一度じっくり探したことがありました。まずは台湾だったのですが、レース用のハイギヤは当然なかったです。さらには 台湾スズキのヴェクスター系150クラスでも 125と同じギヤ数15X47とのことでした。加速重視の台湾らしいなあと思っていました。中国本土なら最高速重視で150なら125よりハイギヤだと思っていたのですが、ちがうようでした。まず中国では150のギヤ単体が純正でもほぼ皆無でした。需要がなく儲からないからでしょう。中国のヴェクチューナーにも聞いたのですが、彼の回答はギヤは全部一緒15X47とのことだったので、本当になさそうでした。なので、レース用のハイギヤどころか、150用の16x46も このときはもうあきらめました。そして国内仕様の150の16X46ギヤは貴重だなあと思いました。自分がずっとヴェクに乗って、いつかギヤパーツがだめになったら ローギヤになってしまいますが、中華ギヤを入れればいいやぐらいに思っていました。つまり、もともと150用の16X46を超えるハイギヤなんてハナからあきらめていました。

しかしです。にゃも氏はさらっと 『アドレスV125のハイギアを流用して取り付けています。』と言われたのですよね。さらにこのとき にゃも氏は別車種のカムシャフトを激しく改造してヴェクスターに流用しようとしておりました。なので、魔改造に目を奪われて、ハイギヤのことをすっかり忘れていました。さらに実は この時にも にゃも氏は ヴェクスターにて アドレスV125のハイギヤの流用の仕方を おしげもなく 教えてくれました。

『このハイギアは、スペーサーを流用しますが、溶接、もしくは、 旋盤で溝切加工をしてピストンピンクリップ内部に抜け止め加工をしてから利用しています。』

ただ、このメールをもらったとき 自分でできるイメージがさっぱりわかなかったです。そして、にゃも氏にとってはそれほど難しい加工ではないようでした。そのうち機会があったら、詳しく聞くか、なんとかすればいいやぐらいに思っていました。

そして月日はながれ ヴェクのフルチューンの取材をお願いして いろいろなことを聞いていたのですが、どの改造も高レベルすぎて 理解するのに ヒーヒーいっていました。

ようやく ハイギヤの番です。ヴェクスターにアドレスV125のプーリーが流用できるのは有名な話なのですが、ドリブン側・クラッチ側はかなり改良され、大きく違います。 当然ヴェクスターにはクラッチ類は流用できないのです。この時点で私はギヤ・ミッションを流用しようなど 思いつきもしないのですが、ヴェクのハイチューンする方々は流用を考えると思います。

しかしです。
実は ヴェクスターとアドレスV125は ギヤの取り付けが逆なのです。



こちらがヴェクスターです。


こちらがアドレスV125です。アイドルシャフトが奥にありますね。逆になっていますので 逆回転になります。これを見てハイチューン系の方々も多くはあきらめると思います。まれに ヴェクスターと アドレスV125の両方もっている方が、パーツを見比べることはあるかとは思います。しかし、アイドルシャフトの小さいギヤ側の取り付け寸法が違います。



こちらの写真がアドレスV125のアイドルシャフトです。


こちらがヴェクスターのアイドルシャフトです。(写真は台湾純正です)
ヴェクスターの方がアドレスV125より太くなっているのがわかると思います。この時点で そのまま入れ替えるだけのポンづけはできないのがわかりますね。さらに にゃも氏によるとこの先端部分が ヴェクスターの方が2㎜長いとのことです。この時点でハイチューナーでも流用やめたくなりますね。さらに他にも考慮しなければ、ならないところもたくさんあります。例えば、ファイナルギヤがシャフトにちゃん刺さりとつくのか、位置などの寸法も問題ないのか。ドライブシャフトとアイドルシャフトがちゃんとかみ合うのか、位置などの寸法も問題ないのか。などなど ほかにもあると思います。
にゃも氏はこれらのすべてをひとつひとつちゃんとチェックしたのだと思います。そしてなんとかいけると判断されてから、流用を開始します。 にゃも氏は漢(オトコ)なので、これぐらいでひるまないのですよね。

まずは ヴェクスターに合わせて2mm延長したスペーサーを自作します。ここでもそして一応つくことがわかったので、利用されたそうです。

そして、利用していて、ギヤの圧入が抜けるという トラブルが発生したそうです。どうやら逆回転のため、かかる力がちがうためのようだとのことです。圧入抜け防止のために Cリング加工をされました。普通は抜け止め防止にCリング加工も思いつかないのですが、にゃも氏はヴェクスター国内純正のアイドルシャフトにCリング加工をしてあることから見抜いたようです。実はこの Cリング加工は国内仕様だけみたいです。台湾仕様も中国仕様もCリングついていないのです。圧入のみです。

他のハイチューナーでも2mm延長のスペーサは なんとか溶接して、自作できるかもしれません。 抜け止め防止にCリング加工はかなり厳しく できてもここも溶接ぐらいではないでしょうか。しかもズレどころかヌケ防止なので、溶接もガッチリ全周必要になりそうで、今後はギヤの精度が狂いそうで 大丈夫なのでしょうか・・・。




たしかに この写真をみる⓶のあたりにちゃんとCリングがついていいますね。

 

また、しかしです。Cリングなどどうやってつければいいのでしょうか。ホムセンにあるドリルやサンダーなどではできそうもないです。にゃも氏によると 旋盤(せんばん)を利用して 溝を掘るとのことです。たしかに溝さえあれば、Cリングやサークリップ はまりそうですね。


旋盤のイメージ画像です。Googleイメージ検索より


このように特殊工具というよりも、工作機械になります。物体を回転させて加工する機械です。もっと詳しく知りたい方はこちらなどが参考になります。にゃも氏は小型旋盤をもっているのですが、ギヤには簡単に溝を掘れたわけではなかったようです。

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ステンレス鋼の焼き入れ処理をした素材(補足ハイギヤ自体のこと)なので、硬くて通常のチップでは刃が立たず、
新たにチップを取り直したりしたので、時間が余計に掛かりました。
加工は、ノーマルと同じようにCリングを使って抜け止め防止の溝切加工です。スペーサーを抜け止めする加工を同じようにして、スペーサーをはめ込んでいます。

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ハイギヤは旋盤があっても簡単に削れるものではないようですね。この時点で初心者は厳しく、金属加工などの経験者でないと無理ですね。


にゃも氏より 加工時のお写真をいただきました。まずはスペーサー側です。

中央のはさまれいるのがスペーサー本体です。旋盤にて内部に溝堀加工します。


内部に溝が掘られていますね。



シャフト側にも溝を掘り(これも実は大変です)、Cリングをつけてはめれば 完成ですね。太くなり、さらに2mm延長されているのがわかると思います。単にスペーサーをつけるだけでは動いてしまってだめなのですね。さらに実はもっというとスペーサーを見つけてくるのも大変ですね。材質やサイズ合わせのために加工も必要そうですし。



次は逆側です。どうやって取り付けたのでしょうか・・・。詳しくお聞きしました。


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ギアの加工の件ですが、一度圧入されたギアを分解して、
クリップ用の溝切加工とクリップの厚み1mmを削ります。
再度、圧入してからクリップを止めれば、完成です。
ミニプレスのお陰で作業が楽になりました。

 

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だそうです。実は前段階として ギヤを分解していたのですね。たしかに分解しないとシャフト側に溝を掘るのは難しそうですよね。ギヤは圧入されているので、プレスなどがないと抜けないのです。バイクDIYやる人はギヤープーラーやベアリングプーラーなどの特殊工具で抜くと思います。プーラーを使ったことがある人はわかると思いますが、かなり面倒で、工具が壊れるなどの失敗も多いです。にゃも氏はミニプレスまで用意されてさすがですね。

ミニプレスのイメージ画像です。(グーグルイメージより)このような油圧工具で何トンもの力をかけることができ、ギヤの分解・圧入をします。


さらに実は大きいギヤ側も1mmも削っているとのことです。


こちらの写真は加工前です。TAKAGAWAの文字がある部分を1mmも削っているとことです。相当手間のかかる加工なのがわかると思います。

 


さらに 加工個体差を解消するのにシムを利用しています。シムがあることで微調整が可能になります。精度への要求がすごいですよね。さすがフルチューナーはちがいます。シムがあることで最適なクリアランスにできるので、パワーロスだけでなく耐久性もあがります。ノーマルヴェクスターで唯一シムがあるところは クランクライトベアリングのみです。はじめてクランクを組むときは苦労する部分かとも思います。



ハイギヤに0.5mmのシムをつけた写真



本当によく流用しようと思いましたね。普通は流用をあきらめるのですが、なんとか流用方法を開発した にゃも氏に脱帽ですね。

ヴェクスターにアドレスV125のハイギヤの流用できるようになったので、急にハイギヤのバリエーションが増えますよね。アドレスV125ならいろいろな レース系メーカーから ハイギヤが販売されているからです。

にゃも氏からの ハイギヤに関する情報です。

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現在(2023)、18/44(2.444)のギアを入れてますが、加速重視の車両になっています。
最高速は、センタースプリングやプーリーの都合で、110キロくらいです。(サーキットにて)ウエイトは、18gです。

ノーマルエンジンでも、17/45 (2.647)のギアを使って走れます。(18/44でも走れますが、上り坂が続けば、辛いと思います。)

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150ノーマルの16/46(2.875)から18/44(2.444)で17.6%もギヤをアップいます。217ccでフルチューンされているので、これでも加速重視とのことです。つまり もっと 重いハイギヤをいれれば、最高速などもすごいことになりそうですね。150ノーマルエンジンでも17/45 (2.647)いけるそうなので、これはとてもいい情報ですね。高速道路走行の多い最高速重視の方とか 喜びそうですね。


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ハイギアも、まだ数種類あるのですが、自分も試した事がないギア数です。
:18x42(2.333) :19x43(2.263) :20x42(2.1) のハイギアもあります。
このギアを入れるとクラッチセンタースプリングの固さが必要になりますので、街乗りに使えるのかが疑問です。
ウエイトローラーも重い物に設定しないと、ヴェクスターの車重と人の体重がプラスされるので、どこまで対応できるのか?
ウエイトローラーもヴェクスターのクランクマス(クランク+フライホイールの重量)の都合上、18gぐらいが限界だと思います。
重すぎると、慣性が強すぎて、回転数が下がらないで、車体が止まりません。
軽くすると、エンジン回転が上がるのが早いですが、高速が伸びないで、エンジンが悲鳴を上げて、壊れます。
重くすれば、慣性力で加速も良くなり、高速時は楽に走行できます。

自分の現在の設定は、18x44(2.444)をウエイトローラーは、18gを使用しています。
急激なアクセルワークをすると、エンジンパワーに負けて、ノッキングのような、ギクシャクした感じが出ます。
ギクシャク感じると、アクセルを戻して対応しています。
クラッチセンタースプリングの固さが柔らかい状態で、ふんばりが効かず、急激にハイギアに入るので、エンジンが悲鳴を上げている感じです。
ミッション車なら、1速で発進して、いきなり4速に入れるのと同じ感覚ですね。
ギアをハイギアにすると、弊害が出るので、調整が大変です。


余談ですが、ハイギア(17x45、 18x44)は、ノーマル排気量の車両にも使用可能です。
変更すると加速が良くなりますが、最高速は、試してないので、わかりません。
ウエイトローラー、クラッチセンタースプリングのセッティングが必要になります。

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さすが にゃも氏ですね。ハイギヤの バリエーションがすごいですね。そしてパーツのストックもすごいですね。最高20x42(2.1)までいけるようです。これだと150ノーマル16/46(2.875)から36%もハイギヤになりますね。最高速を競うレースなどにも利用できそうですね。さすがアドレスV125のレーシングパーツは豊富ですね。ヴェクスターのウエイトローラーの限界は18gというのも勉強になりますね。にゃも氏はフルチューナーなので、バランスを考慮し、数えきれないぐらい調整されています。ハイギヤにすると駆動系の調整もたくさん必要そうですね。スクーターが自動変速なので、セッティングが大変なことがわかりますね。車でもバイクでもマニュアルミッションを運転したことがある人なら 1速から4速にいれる説明は非常にわかりやすいですね。

ヴェクスターにて こんなにハイギヤを試したのは おそらくにゃも氏だけではないでしょうか。ヴェクスター乗りにとって本当に有益な 情報ですね。そして、ついに にゃも氏から パーツを分けてもらうこともできました。しつこく粘ったかいがありました。まずは 17/45(2.647)です。TAKEGAWA製 TTMRC製  

さらに ほかにも チタンドレンボルトワンウェイクラッチ用強化スプリングを いただけました。今回分はにゃも氏の備蓄の放出なので、数が少ないです。当店としましてもこのようなパーツはのどから手がでるほどほしいので今後もがんばっていきます。




2023.8.1追記

TAKEGAWA製のハイギヤはすぐに売り切れてしまいました。やはり ほしかった方多かったようです。次回も入荷できるようにがんばります。

さて、その内の購入のお一人様とにゃも氏との興味深いやり取り・情報がありましたので、掲載いたします。掲載許可感謝です。


まず こちらの方は 現在61mmのハイコンプ仕様のハイチューン ヴェクスターに乗られています。さらにドリブン側の駆動系は中国仕様太軸に変更されています。にゃも氏への質問です。
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Q.
パワー上げて行くと急アクセルや全開走行をするとマグネットロー ターのキーが剪断されたり太軸用のトルクカムの軸側のプーリーが 破断したりしませんか?
トルクカムに関しては元の溶接部分周りの肉盛りで解決したのです
が、 キーは定期的な交換とトランポが無い時は全開をしない様にしてお ります( 次の対策はマグネットローターの軽量化加工が終わり次第、 ステンレス製のキーに交換し軸のテーパー部分ネジロックを塗る予 定)

こんな対策してますよと言うのがあれば、ご教授お願い致します。
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この内容に対して にゃも氏です。
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A.
フライホイールのキー折れの件ですが、 組み付け時の締め付けトルク不足ですね。自分も以前、折れた事があります。
締め込みが甘いと回転の振動で少し動くようです。カタカタと動く ためにキーが剪断されるようです。キーは、純正品の焼き入れ鋼を使用しています。ステンレス鋼の物は、粘りますが、柔らかいです。
組み付ける時は、固着しないようにグリスを少し塗れば、 次に外す時は、簡単に外せます。ネジロックを使用する必要はありません。
ネジロック剤を使用すると、メンテナンスが大変です。
インパクトレンチを使用して締めないと、 締め付けトルクが足りないです。

クラッチのトルクカムの軸側の破損の件ですが、 破断が起こった事は、ありません。中国製ゆえのハズレに当たったのかもしれませんね。
スプリングを強化して、ニードルベアリングスライダー( 5mm厚)を使用して調整していますが、トルクカムの破損はないです。
ハイギアを入れると上限回転数が落とせるのと、 トルクカムが全開にならないで、トルクカムへの負担が減るので、 破断しない要因の一つなのかもしれませんね。ノーマルのCDIのリミッターが9000回転で設定されているら しいので、回転を落とす対策として、ハイギアを使用した感じです。
エンジンの回転数を落として、スピードを上げれるのが、 ハイギアの利点でもあります。
また、排気量を上げて、 パワーが上がっているのを補うためにハイギアを入れないと勿体な いです。自分の不安は、 KN企画製の強化Vベルトが破断しないかと思うぐらいです。
ーーーーーーーーーーーー
とのことです。

そして、質問されたハイチューナーさんのコメントです。

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回答ありがとうございました。
トルクカムに関しては、圧縮比を上げてから、 プレコミさんトコの分とKN企画の分とオークションで買った中古 の分と125の組み換え品と合せて5個ほど使用しましたが、1〜 3日位の使用でどれも割れてしまい捨てるのが勿体ないなと思って から裏表溶接したら割れなくなったので聞いてみました。

キーに関してはマグネットローターが帰って来たら純正でキーを使 用し指定の倍のトルクで締め試してみます。( 駄目だったら鉄工所で鋼で作ってもらいます。)

ハイギアに関しては、CDI(純正中期後期とレーシング) やカム(純正とハイカム)を変更したりしたのですが、8, 000rpm前半で吹けきった状態みたいになって120km付近 (サーキットでGPS測定) で伸びなかったので今回のハイギアに飛びつきました。
61mmハイコンプ仕様と63. 5mm仕様は到達時間だけで最高速変化なし

ベルトは自分の経験ですが、純正もKN企画も10, 000km持たない( 広めのタペット音みたいなのが鳴り出してちょっとしたら切れる) のでオイル交換3回したら交換してます。
因みに純正は千切れたらトルクカムに紐みたいなのが巻き込まれて 出先や通勤途中でトルクカムを全バラしないといけないのですが、 KN企画は綿みたいなのがケース内に充満するだけなので、 純正より復旧しやすいのと純正の1/ 3以下の値段なので自分は好んで使っています。

今回のハイギアで、 高速道路で吹けきった状態で走り続けずに済みそうなので楽しみに してます。
キーの件が解決したら63. 5mmから66mmか67mmのピストンを試す予定です。
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だそうです。やりとりがハイレベルで 案の定 私にはついていけないですが、少し補足などです。同じ排気量でもハイコンプ(高圧縮)にするとパワーはでるが、よく乗りにくくなると聞きます。
ヴェクのウッドラフキーはGN250系とも共通で ボルティなどで300にボアアップされた方でもキー折れは聞かないので、強度的にはなんとか大丈夫な気がします。ヴェクでパワーあげるとマグネットローターを強めに締めないといけなさそうですね。これはいい情報ですね。
トルクカムの軸側が5個もちぎれてしまって、おそろしいですね。あきらめずに強化溶接されて解決するのも素晴らしいですね。おそらく にゃも氏も ハイコンプを数種類試していると思うのですが、このようなトラブルはないのですよね。にゃも氏の指摘どおり、エンジンが高回転だと トルクカムに負担がかかりそうですね。ハイギヤを入れることで対策になるのもわかりやすいですね。お二人ともノーマルの限界をはるかに超えてしまっているので、彼らは問題などあったら 自分でなんとかするという姿勢がクールですよね。もしベルト切れが多発したら、太いものなど探してきそうですよね。私はこのようなトラブルはすぐにあきらめてもとに戻すことの方が多いです。

61mmハイコンプ仕様と63.5mm仕様は到達時間だけで最高速120キロで変化なしという情報もありがたいですね。最高速アップのためにはハイギヤの出番な感じがしますよね。67mmもあるようなので、これは今後も楽しみですね。それにしても ヴェクでGPS実測で120キロでているのが 恐ろしいですね。


さらに にゃも氏から コメントをいただきました。

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トルクカムの破損の件ですが、立て続けに壊れるのは、 他に問題があるのかも知れませんね。自分の思うには、センタースプリングを長くて硬い物を使用して、 トルクカムが偏芯する時に無理な負担が掛かっているのかも?と考えています。
センタースプリングは、125の短いタイプ(長さ90mm) と150の長いタイプ(120mm)が存在します。自分の場合は、短いタイプを使用しています。ヤマハのグランドアクシス100/ BWS100とかアドレスV125のシリーズを購入して試しまし た。
一番硬くて採用を見送っているのが、キタコ製(638N)のグラ ンドアクシス100/BWS100です。
硬い物を使うとクラッチタイミングが遅くなり、 エンジンの回転数だけ上がって、ピーキーになり、街乗りも苦労します。
排気量やチューニングの度合いに合わせて、 スプリングを選択しないとクラッチアウターが焼けて、変色、エンジンも短命に終わるので、気を付けないといけない部分です。
Vベルトは、10000km持たずに切れるのは、スプリングが硬 くて負荷が掛かりすぎていると思います。

交換部品が少ない車両なので、部品選択は難しいですけどね。

フライホイールの締め付けは、 規定トルクとか関係なしで締めこんでいます。次に外す時、プーラーを掛けると バキッ!と音がします。
音がするくらい締まっていれば大丈夫です。( 音がしない時もあります。)

他の方の状況がわからないので、なんですが、自分の経験からは、 こんな感じですね。
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とのことです。案の定、ヴェクスターのクラッチアッセンをバラしたことがない私はついていけないです。センタースプリングを強くすると今度はベルトに負担がかかり、クラッチアウターが焼けることなんかもあるのですね。グランドアクシスのパーツが流用できるとは知らなかったです。さすが にゃも氏ですね。





6.ヴェクスターのPJ34化 ビッグキャブレターについて  -ヴェクに34口径なんて合うの?・・・(2023.8.23記載)

なんと にゃも氏は ボアアップしたヴェクスターに34口径のキャブを利用しているのです。しかし 34口径というと ノーマルだと400ccクラスの単気筒エンジンでも使用されているぐらいです。例えばSR400は33口径で、CL400も34口径です。シグナスXでもボアアップしても30口径ぐらいが多く、せいぜい32口径ぐらいで、34口径はやりすぎな印象を受けました。よく聞く話としては ボアアップしてもキャブの口径を上げすぎると今度は吸入速度が落ちるなどで逆にパワーダウンするそうです。はたして ヴェクに34口径をどうやって活用されたのでしょうか。にゃも氏がパワーダウンさせるようなことはありませんので、詳しくお聞きします。


もともと にゃも氏は 加速ポンプ付きのPZ27㎜キャブレター、PWK28mm、PWK30mmと試してきたそうです。どのキャブも良く走ったのですが、慣れてくると、物足りなくなったそうです。やっぱりもともとフルチューンXR600R乗りのためです。(参考こちらの一番下のXRがにゃも氏の車両です。)

さらなるパワーアップを求めて、PJ34が候補にあがったのですが、最初はボアアップしても小排気量であるため 難しいと思っていたそうです。
しかし部品の軽量化などのチューンナップを行えば ヴェクにもPJ34を取り付け活かせるのではいけるのではないかと試行錯誤をはじめられました。逆にいうと ヴェクスターにPJ34を採用するために どのようにすればいいかと改造・チューニングをはじめたそうです。通常は排気量を基準にするのですが、にゃも氏はキャブを基準に考えられてチューンをしていきます。ハイパワーキャブの性能を引き出すためにどうすればいいのかを考えていきます。フルチューナーの考え方がよくわかりますね。

にゃも氏のコメントより抜粋です。
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PJキャブレターの特性は、ピックアップ、レスポンスが非常に良いです。
PJキャブを採用するために、エンジン内部の部品の軽量加工が始まりました。
エンジン部品が重いとキャブの性能にエンジン加速が追い付かずに、エンストします。
この頃に、スターターギアの軽量加工を思いつきました。

ーーーーーーーーーーーーーー
なるほど、冒頭の スターターギアの軽量加工は実は PJ34を活かすための改造だったのです。

こちらの写真ですね。310gから230gへ軽量化させているのは PJ34を活かすためだったのです。


次は PJ34についてです。おそらくはじめて聞く人も多いでしょう。レーシングキャブといえば、FCRやTMRが有名だと思うのですが、ヴァイタルスピリットの解説によると市販車はPJの方がいいとの解説もありました。エンジン特性にあわせてキャブを選択する必要があるとのことです。当然 私は はじめてPJキャブのことを知りました。せっかくなのでにゃも氏の解説です。


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 PJキャブですが、決してハイレベルなキャブではなくて、CR125R、CR250Rなど、レース用車両に搭載されていた、
ごく普通のキャブレターです。

自分の年代には、チューニングするのに、非常に扱い良いキャブです。
昔は、簡単に入手できたんですが、いつの間にか、生産廃止になり、国内での入手が難しくなりました。

PJキャブは、メーカー(補足:KEIHINのこと)が、2000年頃に、生産廃止しているので、入手するには、アメリカでの購入になります。
昔からお取引のある業者に購入を依頼して、
PJ34キャブレター:31000円くらいに、アメリカ本土での輸送料、購入手数料:10%、カード手数料:5%、アメリカの消費税、
日本への送料、日本の消費税、が、単純に掛かります。(円安になったので、値上がりが激しいです)
簡単に、5万円を超えます。(2022.12時点)
あと、キャブのセッティングパーツを揃えないといけません。(スロットルバルブ、ニードルピン、スロージェット、メインジェット:数個)
国内での入手困難な部品は、アメリカへ手配になります。
中国のアリババ.comなどで販売されている安いキャブレターは、構成部品が違ったりして、安もん買いの銭失い!になり、部品取りにもなりませんでした。粗悪なコピー品が殆どです。

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だそうです。個人的には レース車のCR125R、CR250Rに採用の時点でハイレベルです。ずぼらな私が触ったらすぐに狂いそうで、触りたくないです。にゃも氏は ほぼレーサーのXR600Rをフルチューンしているので、こうなるのでしょう。国内は2000年に生産廃止なのですが、アメリカにはまだ残っているようですね。2022.12時点で5万円越えなのですが、絶版後20年経っていますので、しかたがないですね。中国系パーツが全滅なのが残念ですね。他のパーツも国内の他のチューナーさんたちもみんな同じようなことを言っています。例えばベアリングなどもすべて国産に入れ替える人なども多いです。中華パーツは基本チューニングに向かないようです。


そして、激しく激しく改造(後日解説予定)をして、十分活用できるようになったとのことです。

にゃも氏からのコメントです。

ーーーーーーーーーーーーーー
PJキャブに変更すると、パワーが上がり、トルクも太り、加速も良くなりました。
ハイパワーになるので、ハイギアを入れて、ウエイトの重量を重くして、低速から高速まで安定するようにしました。
スロットルバルブのカッタウェイの角度を#6から#8へ変更するだけで、加速が非常に良くなります。
加速する時に体を置いて行かれる感じです。
燃費も、リッター25kmから、30kmと良好です。
ーーーーーーーーーーーーーー

加速するときに体を置いていかれるほどらしいのが 恐ろしいですね。
そして何よりも燃費がいいのがすごいですね。
私は2ストですが、DIO50をボアアップしたときは燃費が一気に落ちましたので、『ボアアップ=燃費悪化』 というイメージがありました。(単にセッティングもへたなものあります。)
たしかに200ccほどで4STシングルエンジンならリッター30は普通ですよね。パワーをあげてもそれほど燃費悪化しないのがさすが フルチューナーですよね。

それでは 次回は ヴェクにて PJ34を取り付けるための 
テクニックなどをお聞きします。


6-1 インマニなどの加工ーPJ34を物理的に取り付けるためのフィッティング(2023.9.18記載)

まずはヴェクのエンジンとキャブレターとの接続です。この部分にスペース的に余裕がないとそもそもキャブレターを変更できません。さらに無理な角度でつけてしまうとパワーダウンもしそうです。にゃも氏はノーマルと同じようなラインでPJ34がつくように調整されたとのことです。

にゃも氏のコメントです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
キャブレターの位置が変わると、 スロー調整やアイドリングアジャスターの調整が難しくなり、アクセルワイヤーの長さ(取り回し)の都合で、 アクセルが重くなったりするため、位置変更は、しませんでした。
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さてどうやられたのでしょうか。


まずはPJ34とヴェクスターのヘッドに合いそうなインマニ探しからです。ヴェクのノーマルインマニだと小さすぎて流用できないとのことです。他車レーシングインマニなどを中心にしらみつぶしに情報をあつめます。候補になるものを手にいれて、利用できそうか採寸・仮づけなどをします。だめなときは次をあたります。このような工程を何度も繰り返し、ようやく利用できそうな インマニに出会いました。しかし、このインマニにも加工がかなり必要だったとのことです。何個もインマニを無駄にし苦労したとのことです。




さらに微調整するために、高さを合わせます。1cm厚のベークライト板(耐熱プラ板のようなもの)を手にいれて、インマニやエンジンの形状にあわせて削り出します。2枚重ねでちょうどよくなったそうです。ベークライト板はインターネットなどで簡単に手に入ります。さらに2次エア吸い込み防止のためにOリングをつけ溝切り加工もしたとのことです。



上からの写真です。きれいにカットされていますね。さらに割れ防止にスペーサーも圧入されているのがすごいですね。2枚は接着しおり、次回製作するときは厚いものにして1枚にするとのことです。取り付けネジも 長いものに変更します。


エンジンヘッドの接触面のOリングの写真です。旋盤で溝を彫られたとのことです。彫るのが難しいときは、紙式のガスケットをカットしてもいいかとも思いますが、はがすときのメンテが面倒になります。


さらに、作成したベークライト板がエンジンカバーと干渉するので、余分なところを切り取りったとのことです。(アーシングケーブルでなく、オイルジェットシステムのホースが下側にあるのが気になりますね。いつかお聞きしたいと思います。)

にゃも氏のコメントです。
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ベークライトの加工に伴い、 シリンダーヘッド側のカバーのインシュレーター回りを加工しなけ ればいけません。
切断してから半田ごてで、溶着させます。
綺麗に仕上げをしたいけど、 手持ちの半田ごてのナイフが無いので、適当に処理しました。
隠れている場所だから、「まぁいいかぁ」と言う感じです。
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切断して終わりでなく、溶着させているところがやっぱり違いますね。
溶着すれば、強度でるので割れにくくなります。


ベークライト板とインマニを仮止めした写真です。ノーマルと同じような角度ですね。



次はキャブとエアクリーナーとの接続です。PJ34とエアクリーナーボックスとの接続は車用のインタークーラー用チューブを利用されたとのことです。この写真は青ですが、実際は黒を利用しているとのことです。そして現車にあわせて採寸・カットをして取り付けたとのことです。


ボアアップすると多くの方は容量をあげるためにパワフィルなどを利用するのですが、にゃも氏はノーマルのエアクリーナーを利用しています。さてなぜでしょうか。理由などをお聞きしました。

にゃも氏のコメントです。
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エアクリーナーボックスは、純正ノーマルを使用しています。
エアーフィルターは、 中華ヴェクスターの吸入抵抗の少ないタイプを使用しています。(補足こちらと同じとのことです。たしかに紙が薄いです。)
中についているネットを外し、 吸入側パイプの根元にある部品を外して、 吸入抵抗を減らしています。(補足オリフィスのことです。こちら
容量が足りないかと思いましたが、大丈夫でした。

エアクリーナーボックスを外せば、 雨天時の走行に支障が出るのと、砂塵を吸い込んで、シリンダーの 摩耗が早くなります。
(サンドペーパーを掛けてる状態と同じなので、 低走行で白煙を吐き始めます。)
吸入音がうるさく、吹き戻しで汚れがひどくなり、 アイドリングが不安定になります。
また、吸入抵抗が無くなる事により、トルクが落ちます。
パワーフィルターは、 直ぐに目詰まりして走行不能になるから採用不可です。

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なるほどフルチューナーの考え方がよくわかりますね。パワフィルはまさにフルチューンでなくハイチューン向けと言った感じですね。



真上からです。エンジン側の内部はすでに削ってあるのですが、ポート加工などの削りかたなどは まとめて解説します。


もっと楽にPJ34もつくかと思っていたのですが、インマニから探しだし、そして加工もかなりしないといけないので、大変ですね。
ちなみにPWK30の取り付けもほぼ同じとのことです。
PWKも口径がかなりラインナップあります。
おそらく28口径ぐらいまでなら、ノーマルインマニを加工すれば、なんとかつくとの情報もありました。ヴェクにてノーマルキャブしか使ったことがない私には30口径でさえ無理そうです。やるとしても28口径からだと思いました。



6-2 アクセルワイヤー ハイスロットの取り付け

キャブレターを交換すると今度は アクセルワイヤーも変更が必要になります。もともとのノーマルアクセルワイヤーは負圧式なので使えません。さらにはアクセルホルダも合わなくなるので変更になります。すべてホンダ系でまとめることになります。さらににゃも氏はハイスロットに変更しています。ハイスロは知っている方も多いと思います、少しアクセルグリップ回すだけでキャブ側をたくさん開けるように改造するものです。レースなどによく利用されていますし、アクセル全開するのが多い方は普段使いもしているようです。

それではにゃも氏のPJ34ケースでの実際の改造です。

利用したものは

・KN企画製のPJ34にあうロングアクセルワイヤー


・アクセルハウジング一式(タケガワ製ハイスロットルセット、60度くらい)


・アクセルハウジングを取り付けるためのハンドル径変換パイプ(内径19mm、外径22mm)を購入してカット・穴あけ加工したとのことです。

3点になりますが、取り付けるためにはさらに加工が必要です。残念ながら、ヴェクスターはハンドル径が19mmでハイスロのほとんどが22mmです。実は自転車さえもハンドル径は22mmがほとんどなのですが、ヴェクは旧仕様?のようでいつものことでため息でますね。

ワイヤーとハイスロは通常のネット通販で買えますが、鉄パイプのサイトはプロ仕様で注文自体が少し難しいですね。


にゃも氏のコメントです。
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ハイスロットルに関しては、CR125R用(45度)を使いたいのですが、メーター側のカバーに収まらないので、タケガワ製を流用します。
タケガワ製を取り付けるにも、カバーをスロットルハウジングの形状に合わせて、削る加工が必要です。
また、ハンドルパイプ径が違うので、固定穴を開けて、固定する必要があります。(ノーマルのスロットルハウジング取り付けボルト穴を利用)
スロットルワイヤーもアクセルハウジングの根元の角度変更が必要です。

アクセルハウジング用のパイプは、 ノーマルスロットル固定用のネジ穴に合わせてパイプに穴を開け、 固定します。
パイプの画像はありませんが、 マスターシリンダーからグリップエンドまでの寸法で切断します。
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さすが、にゃも氏はガチなので45度がいいのですね。ヴェクスターはノーマルアクセルだと90度ぐらいでしょうか。たしかにバイパス道路などをずっと走行しているときなどは アクセルを開ける度に持ち替えるのが面倒なのですよね。私はハイスロ使ったことないのですが、ネットによると慣れてくると手放なせないそうですね。
実際の取り付け写真をたくさんいただきました。

こちらがハイスロをつけた内部写真です。変換パイプも見えますね。
アクセルワイヤーの取り付け部分もきれいに曲げられていますね。


ななめからです。




運転席側です。特に違和感ないですね。削る部分も横側だけで済みそうですね。



真横からです。しかし見た目はまんまノーマルですね。激しくチューニングしているようには見えないですね。
敢えてノーマルルックにしているとのことです。
にゃも氏のコメントです。
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 見た目は、ノーマルですが、中身は、改造車両と言う、大人げない仕様に仕上げました。
ブレーキやマフラー、オイルクーラーなど、外観からは、良くある改造と思わせています。

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なるほど、羊の皮を被った狼仕様ですね。
チャラいシグXやV125などをぶち抜いていく感じですね。


ハイスロでなくていい方は19mmから22mmになるようにスペーサーをつけて、ホンダ系のアクセルホルダに変更するのもいいと思います。こちらなど。インナーワイヤーが合わないときは調整が必要です。長い分にはスペーサーなどで調整できますが、短いときなどはアクセルグリップの変更・加工が必要かもしれません。(こちらの2022.11.30参考)切り替え可能なユニバーサル汎用タイプなど楽そうです。さらには自分で作成するアクセルワイヤーインナーキットなどもありますので、インナーのみ自作できればこれだけでPJ34などの強制開閉式キャブに変更でき、かなり楽ですね。ヴェクでキャブを変更するときはお好みにあわせていろいろやってみてください。(ゴミ・ジャンク系の私はインナー自作DIYキットですかね・・・。)


次回はポート加工などの削り方を中心にお聞きしたいと思います。


また 2点のみですが、にゃも氏から TAKEGAWAのハイギヤを提供いただけました。ハイギヤはすぐになくなってしまったので、ありがたいことです。気になる方はお早目にキープしておいてください。こちらです。


7.ヴェクスターのポート研磨・ポート加工 ー フルチューナーはヴェクに合わせて削る(2023.10.20記載)


それではみなさんおまちかねのヴェクスターでのポート研磨などを フルチューナーのにゃも氏にお聞きしていきます。私は知識があまりに足りないので、ネットを中心に予備知識をいれておきます。このあたりが参考になりました。ヴァイタルスピリットの解説によると排気量をあげたら、それにあわせて、ポートも拡大が基本との情報もありました。メーカーなどはエンジンを設計するときにすべてのバランスを考えているそうです。

 ポート研磨・拡大は、ボアアップなどでパワーを上げたら基本必要になるそうです。 ボアアップなどで排気量を上げ、 ビッグキャブで吸入量を上げ ステンマフラーなどで排気効率を上げます。シリンダーヘッド内の吸気と排気をつなぐ経路がそのままだと一番細くなっていますので、拡大しないとせっかくのパワーアップが活かせないのです。この部分がボトルネックになり、せっかくの他のパーツが活かせない可能性が高まります。ボトルネックとは経路に一部分でも細い・狭い部分があると全体の流れが遅くなることをいいます。例えると高速道路の料金所がわかりやすいです。料金所が現金のみだと混み合い、スムーズに流れていきませんね。ETCになれば、スムーズになりますね。ポート拡大は現金からETC化になると思えばイメージしやすいです。フルチューナーに言わせるとボアアップなどしたらポート拡大しないともったいないのでしょう。つい私のような初心者はボアアップだけなどで、部分部分しかみないですが、トータル・全体にてみる・考える必要があるのです。とても勉強になりますね。

それなら、ポートを極限まで拡大すればいいかというとそういうわけでもないそうです。拡大しすぎると低回転のトルクが落ちたりするようです。まるで口径をあげすぎたビッグキャブのようですね。実用車ならバランスを考えて削る必要があるそうです。このあたりが難しいですね。しかも削ってしまったらもとに戻せないので 2の足を踏んでいる方も多いでしょう。レーシングショップなどはポート研磨をしてくれるのですが、非常に高額です。手作業で職人技が要求されるため仕方がないでしょう。しかも車種(エンジン形状・特性)に合わせた削り方や目的(レースか公道仕様か)に合わせた削り方もあるようで、それらはほとんどが企業秘密です。それではフルチューンヴェクスターにあわせたポート研磨・拡大をにゃも氏にお聞きしていきます。


吸入経路順に解説していきます。
まずは 吸気側です。


こちらがノーマルの写真です。この写真は中華の社外品なのですが、中華の純正もほぼ同じですので、国内のノーマルも同じだと思います。入口の内径は22.8mmほどでした。ノーマルキャブの口径が26mmなので、メーカーの設計でも細くなるのがわかりますね。ついでにノーマルインマニもチェックしましたが、キャブとの接続部分の内径が26mmでキャブにそろっていました。そしてインマニの出口つまりシリンダーヘッドとの接続面部分の内径が22.5mmでした。こちらもシリンダーヘッドの接触面内径にそろっていますね。つまり、ノーマルヴェクスターでは インマニ内部で一気に26mmから22mmに絞られます。ヘッドのポート内ではガイド辺りで少しだけ細く(おそらく20mmぐらい)なり、また22mmほどに戻りバルブ出口の内径も22mmです。おそらくヴェクノーマルの吸気設計はポート内径22mmでOKなのだと思います。



内部の拡大写真です。指を入れた感じでは、ガイドの根本あたりが一番細くなっている印象でした。またこの写真は社外品のためガイドが長めです。長めガイド

こちらがにゃも氏が加工した写真です。
にゃも氏の解説です。
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吸気側は、ポート形状が長いので、出来る限り、段付きがなくなるようにします。インシュレーター内径に合わせて拡大します。
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ガイドに合わせて筋を残して削っているのが特徴的ですね。口径拡大よりもスムーズに流すようにし、乱気流をさけているようにも思えます。もし筋がなかったら、ガイド付近で一気に気流が乱れますよね。
簡単にいうと 長距離トラックの風よけ板みたいなイメージです。

赤字のココが風よけパーツなのですが、あると燃費が10%よくなったりもするそうです。導風板というそうです。


上側からの写真もいただきました。まさに導風板のようです。


ノーマルの削る前の写真です。こんなに削るの大変ですね。時間がかかるだけでなく、上手に削ることも必要ですよね。まさに職人技ですね。


次は吸気の燃焼室側です。

ノーマルの写真です。右側のおおきい穴が吸気側です。写真の上側にインマニがつきますので、大きく曲がるため、排気側と比べると経路が長いのがわかりますね。吸気側のバルブシートリングの内径は22mmです。形状をチェックしましたが、ガイドの根本あたり、大きく曲がる部分が一番細くなっている印象でした。さらにガイドあるので、この部分がボトルネックになりそうです。


拡大写真です。社外品なので、段差もそのままです。


ガイドが刺さっている部分では赤線のあたりがもりあがりが一番大きいのです。インマニ側から指を入れてインテークポート経路で一番細いと思われたのは青線のあたりです。なので青線あたりがボトルネックなのかなあと思います。



こちらがにゃも氏の研磨した吸気側の写真です。ガイドの周りがかなり削られているのがわかると思います。ボトルネック部分がかなり解消されていますね。
にゃも氏の解説です。
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燃焼室のバルブ側は、シートリングの当たり面一杯に合わせて、削ります。
バルブポケットの部分は、出来る限り深く、掘り下げます。
バルブを組んだ時に、バルブが見えるようになります。

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実はこの解説は燃焼室の排気側もほぼ同じとのことです。



次は排気経路です。
まずは、燃焼室の排気バルブからです。

 
再度ノーマルの全体写真です。左側の小さい穴が排気側になります。


ノーマル社外品の拡大写真です。シートリング内径は18mmです。



吸気側と比べると排気側はストレートなので、18mmならスムーズに流れていきそうな印象です。入口も出口の内径も18mmです。しかし、やはり赤線のあたりが狭い印象を受けました。



こちらがにゃも氏が削った排気側です。吸気と同じようにポケットをおもいっきり掘り下げて、さらに筋(導風板)がついていますね。


ガイド部分のポケットの掘り下げは図にするとこんなかんじでしょうか。

極端に書くと黒い写真部分を削るイメージです。ガイドを露出させすぎると強度が落ちたり、脱落しますので注意が必要ですね。
これはまさに 砂山崩し・棒倒しのあそびと同じですね。砂場で山を作ってその棒倒しをするときにどんどん砂を減していきますよね。やったことがある方ならイメージしやすいです。棒(ガイド)を倒さないようにギリギリまで周りの砂をとっていきますよね。 砂山崩しの参考はこちら
小さいときは砂を手でとるので簡単でしたが、今度は金属になっています。大人は大変なのですね。


最後は エキゾーストの 排気口側 (出口)です。

ノーマル社外品の排気口の拡大写真です。内径は18mmです。ガスケットがあたる外周の外径は36mmです。シートリング内径も18mmなので、おそらくヴェクノーマルの排気設計はポート内径18mmでOKなのだと思います。



こちらがにゃも氏が研磨した写真です。ガスケットの内径にあわせて一杯までけずるとのことです。内径30mmぐらいありそうです。





バルブの傘が見えてくるまで削れとのことです。たしかにこれなら、バルブが開けば一気にスムーズに流れていきそうですね。



こちらの写真はバルブをつけていない写真です。排気バルブ入口がよくわかりますね。




こちらは下側から撮影したものです。ガイドの周り山が取られているのがよくわかりますね。さらにガイド突き出し部分で流れが乱れますので、導風板のように段差解消の坂・筋がついていますね。


 


ついでに中華の社外品のガスケットを当ててみました。拡大すると外径がたりないので、別のガスケットが必要ですね。中国のガスケットの内径は24-25mmで外径も33-34mmと少し小さいです。なので、内径30外径36のマフラーガスケットがあれば ベストだと思いました。おそらく国内純正がこのサイズだと思います。

実はいままで解説してきた にゃも氏の削り方はPWK30のときのようのものです。PJ34ではさらにもっと削るとのことです。
以上がヴェクスターのバルブに合わせた削り方です。実はヴェクのバルブは小さいとのことです。スクーターなので小さい設計のようです。

例えばレーサーのCRF150Rだと

ショートストロークなのでボアが66mmもあり、4バルブです。右側が吸気でストレートなだけでなく、バルブも増えています。ヴェクとはポート形状などが全くちがい、スムーズにたくさんガスが流れていくのがわかると思います。

ポート加工・研磨はエンジン特性・ポート形状に合わせて削る必要があります。ヴェクの場合は小さいバルブに合わせた削り方・ポート加工になるとのことです。大きいバルブや4バルブなどだと削り方が違うとのことです。

こちらは当店が10年前ぐらいに販売したことがある中華ヴェクレーサーによるポート研磨の写真です。あまり参考になる写真がないのですが、やはり にゃも氏とは削り方が明らかに違います。ノーマルキャブの利用を想定していますので、明らかに小さい・細いままです。

 

それではさらに いろいろお聞きします。

Q.PJ34を採用するために、限界まで拡大されたのですか?
ビッグバルブ化を考えましたか?
 A. ポートのサイズですが、インシュレーターのサイズに合わせて30mmに拡大しました。バルブが小さいので、容量を稼ぐためにバルブポケットを限界まで削り込みました。

ビッグバルブですが、以前、台湾レーシングメーカーから「ビッグバルブがあります。」と返事があり、シリンダーヘッドのポート加工とビッグバルブを注文しました。ですが、肝心のシートリングが交換されずにそのままでした。加工手法は、シートリング一杯まで削り込み、バルブの大きい物を使用していました。バルブ径が大きいだけのノーマルから交換しても意味がない、お粗末な仕様でした。
結局、ノーマルのバルブを軽量加工して、シートリングを削り込み、ポートを拡大して使用しています。シリンダーヘッドに余裕があれば、シートリングの打ち変えが出来たと思います。
※ ヴェクスターは、バルブ径が小さいので、ポートの拡大サイズが限られています。ノーマルのインシュレーターでもPWK30mmが使用可能です。エアクリーナーの接続さえ作れれば、問題なしです。
当店の補足ですが、シートリングはバルブの傘が接触する部分のことです。こちらがシートリング自体です。このような硬い金属のワッカがシリンダーヘッドに打ち込まれています。また通常のビッグバルブ化はこのシートリング自体をサイズアップさせ効率をアップさせます。残念ながらヴェクスターのシリンダーヘッドはシートリングのサイズをアップできない形状のようです。


この写真はヴェクスターのシリンダーヘッドの拡大です。濃い灰色が打ち込まれているシートリングです。赤矢印が2つのシートリングの隙間で約3mmでした。これだと大きめのサイズのシートリングに交換できなさそうです。


この写真は中華ヴェクスターのマニュアルにあったシートリング断面図で、左側がバルブの傘です。シートリング自体が内側に絞られる形状のため、青色斜線部分を削る加工を台湾レーシングメーカーとにゃも氏もされたとのことです。シートリングが同じなら内径サイズはほぼ同じです。にゃも氏はフルチューナーなので、大きいバルブよりも軽量のノーマルバルブを選択し、さらに加工して利用しています。(次回後述)




Q.口径拡大よりも 段差解消などのスムーズに流れるように意識したほうがいいのでしょうか?
A.段差を無くすのは一番の手ですが、同じ加工するなら ポート拡大が効率よいです。


Q.ガイド自体は削らない方がいいのでしょうか?
A.バルブガイドを削ってもいいんですが、バルブの首振りがでたり、オイル下がりしてくる可能性があります。
レース用車両ではなく、街乗り車両なので、耐久性重視ですね。




Q.ノーマルのまま このようなポート拡大のみをしても効果はありますか? 
A.ポート加工は、ノーマルでも効果はあります。排気量を上げなくても、ポート加工をすれば良く走るようになります。さらにマフラー交換も行えば、効率が上がります。純正負圧キャブなので、勘の鈍い人だとわからないかもしれません。燃料が薄い状態だとエンジンは回りますが、トルク不足と坂道で焼き付く可能性があります。キャブセッティングは、メインジェットを5番から10番上げて様子を見てください。

Q. はじめて削るときはどういうことに注意すればいいですか?
A. 立体的に考えながら削っていきます。削り過ぎに注意ですね。
シートリングに傷を付けないようにしてください。バルブの擦り合わせで治れば良いですが、傷が深いとシートカット加工に出さないと圧縮が漏れます。


Q.2次エア穴があったら埋めますか? 
A. 穴をタップでネジを切り、アルミボルト(ネジ部分)をデフコンで接着します。固まってから排気ポート内に出たアルミボルトを削ります。
また、穴を埋めるとメインジェットを変更する必要があります。
ブローバイガス還元装置を除去して、繋がっているパイプ類を加工したり、エアクリーナーへ繋がっているパイプを除去してエアクリーナーの穴を塞いでください。ブローバイガス還元装置は、排気ガス規制が厳しくなってから取り付けられた、昔の車両には付いてない機能です。百害あって一利なし。
簡単に補足です。

2次エア用の穴は赤字EXのXの下の穴のことです。国内仕様のヴェクだと前期型だとこの穴がないのですが、後期型以降は空いています。


排気口からみると中央の光っている部分が穴になります。シリンダー側で2次エアキャンセルしても、このままだと気流が乱れて排気効率落ちますね。この穴をふさいでさらに表面を滑らかにするのです。穴サイズが9mmぐらいでしたので、M10でタップを切ればいいかと思います。2次エアキャンセルやブローバイガス還元キャンセルなどについては簡単ですので、わからない方は検索エンジンなどを利用してください。




いつもどおり、金属加工などがハイレベルなのですが、にゃも氏にいわせるとポート加工は削るだけなので、他の改造と比べると楽だそうです。何度もやられて慣れてもいると思われます。私はまず予備(ほぼゴミ)のシリンダーヘッドでやってみようかとも思いました。ヴェクスターなら削りすぎて失敗する心配も少なさそうです。こんなに削れそうもないので、まずは段差とりでもやってみたくなりました。


2023.11.3追記
また、にゃも氏より フルチューンパーツを提供いただけました。今回はなんと 偏芯ピンも放出してくれました。(ひとつのみです)
ハイギヤもさらにハイギヤードな18/44を各2個で計4個もです。
この暑い夏にコツコツと金属加工していだだけました。こんなに提供いただけたのは やはり全国のヴェクファンさまのおかげです。この場を借りてお礼を申し上げます。

詳細は各ページをご覧ください。


ヴェクスター ロングクランク化用 偏芯ピン オフセットピン ワンオフ フルチューン  3mmストロークアップ
https://plecomi.biz/shop/produ ct.php?productid=19034


ヴェクスター ハイギヤ ハイギア 18X44 セット シムつき TTMRC流用 ワンオフ フルチューン
https://plecomi.biz/shop/produ ct.php?productid=19035


ヴェクスター ハイギヤ ハイギア 18X44 セット シムつき TTMRC流用 溶接強化型 ワンオフ フルチューン
https://plecomi.biz/shop/produ ct.php?productid=19036


クラッチスプリングスライダー ニードルベアリング ヴェクスター フルチューン
https://plecomi.biz/shop/produ ct.php?productid=19037





8.PJ34のためのチューニング シリンダーヘッド内部軽量化など (2024.2.15記載)


これまで ヴェクにPJ34をつけるために 吸気 ポート加工 経路と 解説してきました。
実はさらに 重要なものがあります。
それはお気づきな方もいると思いますが、軽量化です。
つい軽量化は地味で面倒なのでやらない方も多いことでしょう。
しかし、ノーマルのままでは各部品が重すぎてキャブ(PJ34)の性能にエンジンがおいつけないとのことです。具体的にはエンストするとのことです。ミッション車でパワーがない状態でギアをあげすぎるとエンストするのと同じような感じです。


バイクの軽量化で有名なのは バネ下荷重を減らすことです。
これは知っている方も多いでしょう。また回転部分の軽量化はとても効果が大きいのです。参考 こちらなど
実は回転部分よりも 上下運動部分の軽量化のほうがさらに効果は大きいとのことです。回転運動より上下運動の方が大変なのは感覚的にもわかると思います。同じ排気量なら上下運動するレシプロエンジンよりも回転運動のロータリーエンジンの方がパワーがでることは有名です。参考こちらなど

では今度はエンジン内部です。
エンジン内部は回転部分が多いのですが、
上下運動する部分は ピストン関係 さらにはバルブ関係
になります。

なので ハイチューンするかたは まずピストンを軽量化しているのですね。ピストン軽量化は情報たくさんありますので、検索してみてください。(ヴァイタルスピリットの解説もとてもわかりやすいです。こちら

さて今度はにゃも氏です。ピストンの軽量化などは当然で、さらには
上下運動する部分バルブ周りを軽量化しています。
こちらの方の情報によるとバルブは数グラム程度でも慣性力は数十キロとのことなので1g軽量化できたら10キロぐらい効果あるのかもしれません。すごい効果ですね。

こちらはマニュアルの分解図なのですが、エンジンが回転するときに上下運動する部品は③ ④ ⑤ ⑥ ⑨になり、他は動きません。バネは常にテンションがかかっており、全体が上下運動していないので、重要なのは③ロッカーアーム ④バルブコッタ ⑤リテーナー ⑨バルブ本体になります。


それでは 具体的に解説いただいました。

8-1.ヴェクスターの軽量バルブについて バルブの軽量化について

 国内仕様ノーマル
IN:23g EX:20g

こちらが吸気側 IN です。大きくて重い方です。


こちらが排気側 EX です。小さくて軽い方です。



研磨加工後
IN:22g EX:19g

こちらが研磨された 吸気側 IN です。1g軽量化されています。



こちらが研磨された 排気側 EX です。こちらも1gの軽量化です。

コメントです。
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圧縮を落とさないために、燃焼室側の削りを少なくしました。仕上げにポリッシュしました。
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フルチューナーがたった1gのために手間を惜しまないのがよくわかりますね。慣性重量の知識がなかったら、面倒でやらない人がほとんどだと思います。精密秤ではないので、実際は1.5g近く軽量化されているかもしれません。1gでも重量比だと約5%ぐらいの軽量化です。


削る部分はバルブガイドからでている部分のみです。これより上側を削ってはいけません。マニュアルにも厳しいクリアランスの指定があり、削ってしまうと圧縮漏れやオイル下がりを誘発します。つまり耐久性がなくなってしまいます。


こちらは排気側の写真で、研磨できる部分はバルブが閉じた状態で、赤矢印部分です。IN吸気側も同じです。



バルブの傘の内側つまり燃焼室側の削りを少な目にしているのも興味深いですね。にゃも氏の選択は高圧縮化(ハイコンプ)されてパワーが上がっているものを落とさないようにしています。やみくもに軽量化するわけではなく、トータルで考えているフルチューナーの考え方がわかりますね。

加工には、ベビーサンダーとベルトサンダーを使ってるとのことです。てっきり旋盤を利用しているかと思ったのですが、ハンド工具でやられています。これならもっている人も多いと思います。おそらく バルブ自体がかなり硬いのでリューターなどでは時間がかかりすぎてしまうのかもしれません。
削りすぎてしまうと強度も落ちますし、耐久性も落ちますので、そのバランスが難しそうです。

さらに頂いたコメントです
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バルブの軽量ですが、今回の物は、少ししか削っていませんが、 圧縮を考慮しなければ、傘の部分を薄くなるまで削れます。
さらに、2g位軽くできると思います。
ーーーーーーーーー
だそうです。今回はPJ34という大口径キャブの性能を引き出すために、バルブに関しては圧縮を落とさない選択をされたんですね。



このバルブ断面図でいくと、緑色の斜線部分は通常通り削り、燃焼室側のピンク色部分は少な目に削るとのことです。緑色部分はポート拡大にもなるので、軽量化と合わせて一石二鳥になりますね。ピンク側は削ればけずるほど燃焼室の容積が上がるため圧縮比が落ちてパワーダウンしていくので注意が必要です。軽量化かハイコンプかの二者択一になりますね。
いずれにしても削りすぎは強度が落ちるので、注意が必要ですね。バルブが折れたら腰下までダメージがいくかもしれません。


にゃも氏にはじめて削るときのアドバイスをいただきました。

ーーーーーーーーー
いきなり、きれいに削ろうとするのは難しいです。はじめてだったらいらないバルブを用意して練習しましょう。硬い金属ですので、パワーのある工具が必要です。あたり面を傷つけないように、ゆっくり、根気よく削りましょう。
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ちなみに中華系だとY印吸気バルブで 25gで Z印で22g です。参考こちら
私は現在 段差ありまくる社外ヘッドで、ずっとYバルブを使っています。一番だめなケースですね。社外ヘッドを利用して5万キロ超えてきて、そろそろOH時期です。Yバルブも2本目なのですが、すり合わせもしていないので、おそらく圧縮漏れてます。次はZ印にしようかと思います。

妥協しない・終わらないフルチューナーのにゃも氏はチタンバブルも探しているとのことです。他車流用で加工前提になりそうです。これもお値段すごいことになりそうですね。 

 

8-2.軽量ロッカーアームについて

中国純正のノーマルで一番いいものをさらに削りこみます。
中国純正ノーマルのJX44の詳細はこちら


こちらが削る前で47gです。タペットが4gなので、本体は43gです。



こちらが研磨軽量化されたものです。全体では5gも軽量化されています。



拡大写真です。ロッカーアームは純粋に上下運動するわけでなく、シーソーのように孤を描きながら動きます。先端にいくほど軽量化の効果は高くなります。


裏側です。強度を落とさないように付け根部分がほぼ削られていないですね。カムとのあたり面も角を落としているとのことです。

縦から見た拡大写真です。とがった筋を残しているのが特徴的ですね。これも力がかかる方向に強度を保つためです。両方の先端部分を可能な限り削られているのがよくわかりますね。


せっかくなので、ノーマルJX44を近い角度で並べてみました。最近のJX44はかなり個体差があります。オイル穴が小さいものもありますので、そのときは拡大したほうがよさそうです。研磨するときの参考にしてください。


工具はバルブと同じようにベビーサンダーとベルトサンダーを利用しているとのことです。バブルと比べたら最悪折れても エンジンは壊れなさそうです。そのためガンガン削れそうです。(ただしヘッド全体がだめになる可能性はあります。)



8-3.チタンバルブリテーナーについて

こちらが実際ににゃも氏が利用しているチタンリテーナーです。チタンなので光沢が美しいですね。


こちらがヴェクスターのノーマルのリテーナーです。7gです。



チタンリテーナーになると 4gになります。約3g軽量化で43%も減量できます。


左ノーマル 右チタン 下側の比較です。


左ノーマル 右チタン 上側の比較です。コッタがはまる穴のサイズと角度も同じとのことです。



なんと3gも軽量化できるのですね。
ヴェクだとノーマルバルブを限界まで削っても3g程度のようなので、チタンリテーナーに変更するだけで、お手頃ですね。
ただお値段が結構したとのことです。しかも入手先はアメリカです。もともと別車種用でしたので、ヴェクに流用できるか詳しくチェックされ、コッタが入る角度も同じだったので、加工しないでそのまま流用できたとのことです。後日、予備を購入しようとしたら、もうなかったとのことです。つまり備蓄もないそうです。残念ですね。
おそらくこのチタンバルブにいきつくまで、いろいろな車種のリテーナーを調査・入手してヴェクスターにて流用できるか試行錯誤されています。インマニ流用の時と同じで、手間とお金がかかりますね。

お聞きする前はアドレスV125のレーシングパーツで台湾にでもあるのかと思っておりました。
実際にV125のチタンリテーナーがあるか軽く調べたのですが、なかったです。レーシングメーカーでもラインナップがないようです。よく見つけられたと思います。
簡単にネットで見つけられたものは シグナスXやモンキー系が中心でした。さらに調べるとワンオフで製作してくれるところもあるみたいです。バルブ関係はワンオフがちょこちょこ見かけれるので、お金をかければ、なんとかなりそうな印象でした。例えばこちらなど。

最初はたかだか数gのために小さな金属のコマ(リテーナ)に大金をかけるのが馬鹿らしいと思っていました。しかし、バルブを削ることを考えると チタンリテーナーに交換するだけで同じ効果が得られて、さらにエンジンブローのリスクもないことがとてもいいと理解できました。耐久性重視でチューンしたいなら 一番優先度高いですね。


9.ヴェクスター フルチューンに学ぶ ピストン加工 ハイコンプ注意点 ビッグキャブでの利用 (2024.11.19記載)
 
ピストンのチューニングといえば、 まず第一に軽量化が有名だと思います。削って肉抜きすることはいろんな方がやっています。グーグルイメージ検索結果 あとは多気筒だと重量バランスをそろえるなどがありますね。ヴェクは単気筒なので関係ないですが。
ボアアップするとピストンが大きくなるため 重量増はさけられません。
あまりに重くなってしまうと 上下運動の慣性力がすごい抵抗になってしまいます。つまりエンジンの回転数があがりにくくなったり、高回転まで回らなくなることもあるそうです。検索するとたくさんでてきます。こちら

さてでは にゃも氏のフルチューンでのケースです。
最初は TAKEGAWAの67mmで組まれました。
この場合は 33.5x33.5x3.14x61.6 で 217ccになります。


2のヴェクの排気量の解説でもありましたが、67mmのピストンです。2008年当時のものになります。

おさらいになりますが、にゃも氏によると
ピストン重量はそれほど重くはないのですが、さらにサイドに穴加工で軽量化し、リセス加工して組まれたそうです。このときは旋盤どころかボール盤もなくハンド工具のみでやられたとのことです。
そして圧縮を落とすためにゲタを履かせ、燃焼室も拡大しました。


そしていろいろ改造をしてセッティングはでて利用・常用されていました。
コンセプトは ハイパワーですが 十分日常利用・使用に耐えられることです。さらに燃費もいいことは書いたとおりです。つまりフルチューンそのものですね。



そして2022年ごろに当店の61mmハイコンプピストンに目がとまったそうです。
このピストンなら排気量はさがるが、コンプレッションはさらにかせげますし、61mmならピストン自体がかなり軽量になります。
そしてこの時期には旋盤なども手に入れていたので、ピストン加工にも幅がでるようになっていました。(67MMを入れたころはありませんでした。)

そして、試したそうです。

ピストンはこちらで かなり高圧縮になります。
排気量は 30.5x30.5x3.14x61.6 で180ccになります。

さらには ピストントップや表面は加工などせずにそのまま利用できたとのことです。ほぼポン付けできたとのことです。
おそらく ノーマルのヴェクでもピストンは削らずにそのままつくかと思います。 にゃも氏のケースはロングクランク(+1.5mm)をいれていますが、ベースアップ(1.5mm)もしていますので、ピストン頂上とシリンダーヘッドへの距離はノーマルと変わりません。

ボア61mmを組まれて上死点を出したときの写真です。ここからさらにガスケットとゲタをはかせて(合計+1.5mm)ヘッドに干渉しなかったとのことです。にゃも氏はクランクの芯出しも頻繁にしていますので、振れ量が多くなったクランクでは干渉する可能性はあります。(個体差もあります。)



そして見事に61mmでもPJ34にてセッティングでたとのことです。

67mmのころと比べると 低速トルクは落ちましたが、ピックアップがよくなり、パワーは十分だったとのことです。乗り味が若干ピーキーになり、暖機運転に時間がかかるようになりましたが、十分日常使用できるとのことでした。


にゃも氏のピストン加工は ヴァイタルスピリット仕込みです。
スリット加工が特徴的でロングライフ加工というようです。参考こちらなど


 
61mm凸型ハイコンプピストンでのサイドスリット加工です。もともとのピストンにもスリットは2本ありますが、さらに追加して1stリングの上側にもスリットを入れるのが特徴的です。


こちらの写真はスカート部になります。たくさんスリットが入っているのがわかりますね。



サイドスリット加工でしたら、最近は中国でもよく見るようになってきましたね。
こちらなども

興味深いのはピストンファーストリングの上部分にいれるスリット加工です。この部分はピストンランド部というそうです。
こんな加工は見たことがありません。バイタルスピリットによるとこの加工はピストンリングの寿命も長くするとのことです。



この写真では1stリング上だけでなく、2ndもオイルリングの上部分にもスリット加工をしています。ここまでして各リングへの負担を減らし、耐久性(油膜保持など)を追及します。

やみくもにスリットをいれればいいわけでなく、バイタルスピリットにあるように車種・目的・TPOにあわせてスリットをいれなくてはならないそうです。


にゃも氏にお聞きしました。

Q.フルチューンに関して 同じボアなら 基本的にピストンは軽量 ハイコンプがいいのでしょうか? 
A.はい そうです。 ハイコンプの軽量ピストンの場合、ピックアップが非常に良いです。また。パワーも出ます。

Q.ハイコンプだと スリットが多いほうがいいのでしょうか?
A.スリットの間隔は、ピストンに合わせて、等間隔で溝を入れています。 ピストンスカートにスリットを入れるとシリンダースリーブとピストンの間に油膜を保持できます。 また、摺動抵抗を減らせるため、軽く回り、また、最悪オイル切れなどで抱き着きを起こしても、ピストンが固着する事なく、 冷却後には、再始動が可能です。(抱き着きを起こした場合は、オーバーホールです) トップリングとセカンドリングのスリット加工は、ピストンリングのロングライフに役立ちます。 バトルオブシングルやエンデューロレースなどの過酷状況にて、実証済みです。

Q.ハイコンプで気をつけることは?
A.まずは仮組をします。 油粘土をピストンヘッドへ薄く肉盛り、ピストンヘッドとシリンダーヘッドと干渉しないかを確認します。 後にカムを組付けて、軽く回し、バルブとピストンが干渉していないか、クリアランスを確認します。 干渉するときは、ゲタをはかせたり、ピストンを削ることが必要になります。(ベースパッキン+アルミのスペーサー:0.5 mm 1.0mm) 
ピストンヘッドの高さにもよりますが、カムチェーンのコマ数の多いものを利用します。(ノーマル:94コマから社外品:96コマを利用) また、ハイコンプに合わせたセッティングをします。 コンプレッションを上げた場合は、メインジェットを30番~50番位上げて試走します。 薄いと上まで回らない、トルクが無いので、さらに番数を大きくします。(濃い番号から、薄くしていきます) 慣らし中に大体のセッティングができると思います。(スロージェットは、変更なし。スロー調整のみ) 
燃料はハイオクを使用(デトネーションを防ぐため) 

下記は補足です。
・プラグは、NGK C9E (抵抗が無く、火花も大きいです) (イリジウムプラグを使用している方がいますが、電極が細く、失火するため使用しないです。かぶった時に再始動できません)
 ・マグネットローター点火進角加工
・ダイレクトイグニッション加工(火花が強く、ピックアップが非常に良い)
 ・オイルポンプギア強化(吐出量を増やし、ロッカーアームやクランクへの圧送量を上げる) 
・オイル粘度を上げる(モチュール300V 4Tオフロード15w-60 + ミリテック1) 
・セルモーター強化 (スターターのワンウェイクラッチが破損するリスクが増えます。自分の車両は、ワンウェイクラッチ変更のためクランク改造済み) 
・ アーシング追加加工(14sq)
・ 燃焼室の加工(圧縮を調整) 
・オイルクーラー追加加工 
など。


Q.鍛造(たんぞう)ピストンは加工に向かないですか?
A.加工手法は、基本変わりません。鍛造ピストンは、固くて重いです。 鍛造ピストンは、鋳造(ちゅうぞう)とくらべて膨張率が大きく、鋳造ピストンの倍のクリアランスが必要になります。(オイル消費が多くなります) ピストンクリアランスをできる限り小さく指定した、ホーニングをお願いしています。 ピストンには、抱き着き防止対策のサイドスリット加工をしています。


Q.61mmのハイコンプのときと67mmでのときの大きな違いは何でしょうか?
A.67mmだと低回転からパワーとトルクがあり、61mmと比べると乗りやすいです。 61mmのハイコンプは、簡単にパワーは上がりますが、トルクが小さいです。 軽量だとピックアップがよく高回転まで軽快に回ります。(当然ノーマルよりトルクは、太いです) ヴェクスターは、車体が重たいため、排気量アップは、効果的です。 ボアを広げると、自然と圧縮も上がります。 ウエイトの重量アップとハイギアの組み合わせで、加速を楽しんでいます。


つい初心者(私のこと)はボアアップに心を奪われてしまいます。
パワーアップにはボアアップ、排気量アップが一番と思っていますがちょっとちがいますね。単に排気量あげるだけではフルチューン車には勝てないのは有名な話です。(ex ゼロヨンで、フルチューン2Lシビックがノーマル4Lフェラーリに勝つ)ボアアップしてもピストンが重すぎたり、コンプレッションが下がってしまったら、大してパワーやトルクもでずに、さらに回らないエンジンになってしまうことがあります。
基本的にピストンに関しては絶対的なパワーを出すには重量は軽いほどよく圧縮が高いほどよさそうですね。
耐久性・信頼性をだすならスリット加工などの油膜保持をいかにできるかにかかっているようです。ヴェクでの注意点はワンウェイクラッチの耐久度の範囲内にコンプレッション・排気量を収めることでしょうか。セルモーター強化・セル配線強化してもその負担はワンウェイクラッチに全て向くことになります。ヴェクに合う強化ワンウェイクラッチがないためで、スプリング強化だけでは限界があるみたいです。この辺りはにゃも氏も少し苦労しているようで、ワンオフで別車種の強化ワンウェイクラッチを採用しています。(この件は別の機会にでも取材します。)


ヴェクスターでボアアップしている当店のお客さまですと、コンプレッションを測定している方がまず少ない印象でした。さらにピストン加工・軽量化までされている方はほぼいない感じでした。まずはピストンを切削して軽量化するところからになりそうですね。コンプレッションをあげるにはシリンダーヘッドやシリンダーを面研磨することもありますが、費用対効果を考えれば ハイコンプピストンを手に入れて削った方がよさそうですね。


ついでに面白いデータをみつけました。
TAKAGAWAの CFR150Fでのデータです。
CRF150F自体がレーサーモデルのため単純にベクスターとは比較できないのですが、参考になります。データはマフラーがすべてノーマルのままなのがさらにわかりやすいです。

TAKEGAWAのCFR150Fでの比較データを拡大してラベルをつけました。詳細はこちらです。横軸がエンジン回転数で、縦軸が後輪出力です。

この図でまず注目してほしいのは オレンジ色と赤色です。大きな違いはピストンをハイコンプに変更ですが、パワーがかなりあがっているのがわかると思います。
ピークパワーも13.4psから14.4psに約7.5%もあがっています。同じ排気量(174.5cc)でもハイコンプにすればパワーがあがるのがわかると思います。 


さらに注目してほしい部分は緑色です。緑色もオレンジ色と赤色と同じ排気量(174.5cc)です。同じ排気量でもチューニングによりパワーに差がでるのがよくわかります。
緑色はハイカムをいれていますが、キャブレターがノーマルで口径が小さいためパワーがそれほど出せません。(ノーマル24口径でビッグキャブ26口径)

にゃも氏の61mmのケースでは このグラフでいう赤色をやっているのですね。排気量ではなくコンプレッションを高めてでのフルチューンです。(軽自動車でのフルチューンに近かそうです。同じ低排気量でいかにパワーを出すかを追及しているのです。)67mmのケースではオレンジ色に近いチューニングです。(排気量がちがうので、絶対的なパワーは61mmのときより上ですが。)


このようなちゃんとしたデータがあるので、
ピストン重量や形状(圧縮など)が重要なことがよくわかりますね。

今回はピストンを中心に勉強していきました。まとめますと、パワーをだすには コンプレッションをあげればよく、軽量化も重要です。ただし単にノーマルのエンジンで同じ排気量でピストンのみをハイコンプにして軽量化するのはハイチューンに近くフルチューンではありません。バランスが崩れることも多いので、トータルにチューニングが必要になります。

余談ですが、水色はノーマル(156cc)から ビッグキャブに交換しただけです。(24口径から26口径)キャブを交換するだけで、15%ぐらいパワーアップしています。キャブを交換するだけでこんなにパワーアップすることがあるのですね。私はノーマルからマフラーを交換するだけで(もちろん+キャブセッティング)、パワーアップするのは知っていたのですが、キャブのみを交換するだけでこんなにパワーアップするのをはじめて知りました。にゃも氏がノーマルキャブに目もくれないことがよくわかりました。たしかに緑色とオレンジ色の比較も排気量は同じでキャブを交換しているだけでパワーアップしています。CRF150Fではレーサーモデルのためマフラーの性能・容量が高いのもありますが、今までキャブのことを軽視しすぎていました。
ボアアップしてもノーマルキャブでもジェット類を変更すれば問題ないと思っていましたが、ちがいますね。
ノーマルキャブのままではせっかくのボアアップなどのチューニングが活かせなくなりますね。ノーマルキャブがボトルネックになってしまいます。チューニングする方がノーマルキャブに見向きもしない理由がようやくわかりました。ダイヤフラム式のキャブは使いやすいのですが、一番性能が低い(パワーはでない)とのことです。たしかにバタフライバルブが邪魔で抵抗になり吸気効率悪くなりそうですよね。


ヴェクのノーマルキャブBS26の断面図です。(マニュアルより)この図からもバタフライバルブが吸気断面積をかなり減らしているのがわかると思います。VM型キャブならバタフライバルブ自体がないので、吸気効率よくなりますね。ポート加工・研磨する人にとっては負圧キャブ・CVキャブが眼中になくなりますね。

とてもいい勉強になりました。燃費野郎として、キャブも勉強していきたいと思います。もちろん今回はピストンについてですので、ハイコンプ・軽量化にもいつかチャレンジしていきたいと思いました。


おまけ・・・

にゃも氏は67mm、61mmだけでなく 66mmでも組まれたことがあるそうです。この黒いヘッドガスケットはワンオフとのことで、66mmでフラットピストンなので一番圧縮が低そうです。おそらく聞けばさらにピストン・ボアのバリエーションがありそうですなので、今度お聞きしてみます。私たちヴェク乗りがプーリーを変更したりいじったりしますが、にゃも氏にとってはボア変更が日常のようです。


こちらは燃焼室を拡大した写真です。かなり拡大しているのがわかるとおもいます。ノーマル系は下の写真です。そういえば、燃焼室の削り方についてお聞きしていなかったので、今度お聞きしたいと思います。

こちらは中国の社外品で、バルブ付きタイプのものです。

こちらは中国HJスズキの純正です。中国でも燃焼室形状はいろいろあるのがわかると思います。


さらにさらに 現在はボア70mmに合わせてパーツを製作・調整しているとのことです。現在は特にお仕事も超多忙なのですが、とどまることなく高みに上り続けています。フルチューナー恐るべしですね。


・・・・つづく

 
 
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